100年スケールの学问 | 総长室だより~思いを伝える生声コラム~第3回
実施日: 2017年10月25日 |
东京大学第30代総长 五神 真 100年スケールの学问8月上旬、北海道の2つの施设を访问しました。农学生命科学研究科の北海道演习林(北演)と人文社会系研究科の北海文化研究常吕実习施设です。桁违いのスケールを前にし、东大の活动の幅広さと深さに触れて、激しく动く社会で忘れがちな、时空の広がりを落ち着いて捉える大切さを改めて感じました。 富良野にある北演は、1899年、木材の生产を主眼に设立されました。1950年代前半、第5代林长の高桥延清先生が、长期的な経済性と环境保全の観点から新しい林业モデルを提案しました。老?病木中心の伐採を行い、森を若返らせ、成长分だけを収穫し、持続的に木材を得るという林业モデルです。60年以上も前にサステイナビリティの意义を见抜いた先达の慧眼です。 常吕は、オホーツク海に临む北见市の町です。なぜここに施设があるのかというと、8~9世纪も前に北海道で栄えた「擦文文化」(由来は篦で擦って文様をつけた土器)の遗跡の宝库が常吕なのです。太古の生活に今向き合う考古学の妙の一端を実感できました。 林学は社会の役に立つ実学の一つです。実学というと、短期的なものに目が行きがちですが、役に立つことと时间スケールは别の问题です。长期的に见て初めて役に立つ実学も当然あります。植林した木材を利用できるようになるには40~50年かかります。しかし、植林当时と50年后では社会が求めるものも当然违います。その时点の経済性だけでは真に役立つものを生みだすことはできません。実学としての林学には、国土保全、颁翱2吸収、森の保健机能まで含め、长い时间スケールで未来を予见することが求められるのです。 常吕には3000基もの竪穴式住居の遗跡がありますが、その地図には一部四角い空白の区域があります。遗跡の学术的文化的価値が认知される前に开発が入ってしまったのです。発掘できるのは年间2つほどだそうですので、全部を调べるには何百年もかかります。これも100年スケールで捉えることが不可欠な事业です。 现代のテクノロジーの遥か以前から繋がれてきた先达の知恵を常に意识し、敏感になって初めて、100年スケールで物事を语ることができます。东大にはその知恵に直接触れられる资产が多々あります。大学は长期的な课题にしっかり取り组むための贵重な受け皿です。重要なのは、大学が长期的スケールで物事を捉えることの意义と価値を社会にきちんと発することです。北海道でこうした思いを改めて强くしました。 もう一つ、刺激を受けた访问がありました。常吕からほど近い地にある北见工业大学です。远隔?分散?结合をキーワードに、また话したいと思います。(つづく) 「学内広报」1501号(2017年10月25日)掲载 |