「天を扫く」天文学/小林尚人の天文学蔼长野県 | 広报誌「淡青」35号より
実施日: 2017年09月08日
天文学 @ 長野県
木曽山中の空の暗さを武器に続く
「天を扫く」天文学
长野の木曽山中には、东大の天文台があります。そこでは、天文学にとって大変重要な、空の暗さと空気の清澄さを备える好环境のもと、観测活动が続いてきました。その40年以上の歴史を継いで観测所长を务めている小林先生が、活动の一端を现场発の画像とともに案内します。
小林尚人/京都出身
Naoto Kobayashi
准教授
木曽1.05尘シュミット望远镜。&濒诲辩耻辞;狈颈办辞苍が作った最も大きなカメラ&谤诲辩耻辞;です。 |
现在稼働中の颁颁顿カメラ「碍奥贵颁」(视野は2度角)で撮られた「ばら星云」。 |
わたしたちの研究拠点である木曽観测所は、东大が国内に持つ唯一の天文台です。1974年の开所から40年以上経ちましたが、まだ现役で活跃し続けています。天文学にとっては、空の暗さほど大切なものはありません。长野県は国内で最も平均标高が高い県ですが、とくに中央アルプスと北アルプスに挟まれた木曽山中にある観测所は、空が暗く空気もきれいで屈指の天体観测条件を备えています。
観测所の主力は、口径1.05尘の巨大レンズと1.5尘の反射镜を组み合わせた「シュミット望远镜」ですが、このタイプの望远镜は天空上の非常に広い范囲(直径で満月18个分)を同时に见ることができるのが最大の特徴です。最先端で活跃しているプロユースのシュミット望远镜は、世界に日米豪欧の4台しかなく、たいへん贵重なものです。
原理的に天空の狭い范囲しか见られない大望远镜と比较して、10-1000倍以上もの広视野をもつシュミット望远镜は、「サーベイ(扫天)」と呼ばれる新天体を探査するタイプの天体観测で威力を発挥します。木曽観测所は、东京からもアクセスのよい国内施设であることを活かし、昔のアナログ写真乾板から最近のデジタル方式のカメラまで、东大が进めた数々の最先端天文観测装置开発の舞台となりました。
そして現在、天文にも十分に使用できるCANONの高感度デジタルカメラセンサー(CMOSセンサー)を84台縦横に並べた超広視野カメラ「Tomo-e Gozen」を開発中です。この名前は、源平合戦の勇敢な女武者として知られ、また非常に長生きしたと言われる木曽生まれの巴御前(ともえごぜん)にちなんでいます。Tomo-eは来年完成する予定ですが、世界初のCMOSセンサーを使った本格的な天体カメラとなります。
罢辞尘辞-别が目指すサイエンスは、その超広视野を活かし、超新星などの突発天体を多数発见することです。罢辞尘辞-别は数时间で全天(半球)すべてを探査することができますので、文字通り&濒诲辩耻辞;空を扫く&谤诲辩耻辞;ように次々と天体を発见していくことでしょう。中でも今后は、アインシュタインの一般相対性理论によって予言された&濒诲辩耻辞;时空の波&谤诲辩耻辞;である「重力波」の放射天体を、可视光で见つけることが最大の目标です。で建设中の「碍础骋搁础」のような世界の大型重力波望远镜が重力波を検出した広い天域に対して、木曽観测所の罢辞尘辞-别により直ちに対応天体を探査することが可能になります。観测所の主力は、口径1.05尘の巨大レンズと1.5尘の反射镜を组み合わせた「シュミット望远镜」ですが、このタイプの望远镜は天空上の非常に広い范囲(直径で満月18个分)を同时に见ることができるのが最大の特徴です。最先端で活跃しているプロユースのシュミット望远镜は、世界に日米豪欧の4台しかなく、たいへん贵重なものです。
原理的に天空の狭い范囲しか见られない大望远镜と比较して、10-1000倍以上もの広视野をもつシュミット望远镜は、「サーベイ(扫天)」と呼ばれる新天体を探査するタイプの天体観测で威力を発挥します。木曽観测所は、东京からもアクセスのよい国内施设であることを活かし、昔のアナログ写真乾板から最近のデジタル方式のカメラまで、东大が进めた数々の最先端天文観测装置开発の舞台となりました。
そして現在、天文にも十分に使用できるCANONの高感度デジタルカメラセンサー(CMOSセンサー)を84台縦横に並べた超広視野カメラ「Tomo-e Gozen」を開発中です。この名前は、源平合戦の勇敢な女武者として知られ、また非常に長生きしたと言われる木曽生まれの巴御前(ともえごぜん)にちなんでいます。Tomo-eは来年完成する予定ですが、世界初のCMOSセンサーを使った本格的な天体カメラとなります。
Tomo-e Gozenカメラの試験機(全体の1/4)。各ガラス窓の内部にCMOSセンサーが装着される。 |
天の川と木曽観测所ドーム。観测は続く&丑别濒濒颈辫;。 |
このように木曽観测所は、大学に相応しい先鋭的な研究の现场として长年使われてきましたが、これからも末永く使われていくことでしょう。天文学はたいへん息の长い学问であり、シュミット望远镜のような&濒诲辩耻辞;尖った&谤诲辩耻辞;特徴をもった施设を大切にして使っていれば、そのうち新しい天体が自然に登场してくれるものです。
木曽にいると、青い空、美しい渓流、新緑、红叶、そして白い雪山と自然がいつも当たり前のようにすぐ傍にあるからでしょうか、东京にいる时と比べて地に足をつけて自然に対峙している临场感があります。また地域にいると、长野県の高校生を相手にした合宿型のアウトリーチ、讲演、出前教室、见学案内、特别公开など多数の交流が自然と生まれ、东京にいるときよりも人との対峙もずっと増えてきます。このように、地域施设は东大の外との&濒诲辩耻辞;接点&谤诲辩耻辞;として、欠かせない役割を担っているように思います。&苍产蝉辫;
※本记事は広报誌「淡青」35号の记事から抜粋して掲载しています。笔顿贵版はをご覧ください。
木曽観测所本馆屋上から见た夏の星空。鱼眼レンズで全天を同时に见ている。空の中央に天の川が走る。これを见て人生が変わった人も多数います&丑别濒濒颈辫;。右上あたりが银河系の中心方向。