クローン病の新たな治疗法に光 肠间膜脂肪が慢性肠炎の発祥や悪化に関与する仕组みを一部解明
东京大学医科学研究所の佐藤慎太郎客员准教授と清野宏教授と日本たばこ产业株式会社の高桥裕研究员らの共同研究グループは、独自に作製した肠管上皮细胞を成熟脂肪细胞と共培养すると、お互いの细胞において炎症反応が惹起されることを明らかにしました。本研究成果により,肠间膜に存在する脂肪细胞が直接的に上皮における炎症反応の诱导に関与すること、さらに脂肪细胞の性质を改善するアプローチが新たなクローン病治疗法に结びつく可能性が提示されました。
炎症性肠疾患の一つであるクローン病患者において、肠管上皮が伤害される溃疡部分の近くに高频度で肠间膜脂肪组织の増大が観察されることは、80年以上前から报告されています。さらに、増大した肠间膜脂肪组织では、炎症反応が生じていることも知られています。しかし、肠间膜脂肪と肠炎のつながりを示す証拠は非常に乏しく、肠间膜脂肪の増大、炎症反応が、肠管上皮の炎症にどのようにつながるのかの具体的な検証はこれまでにほとんど行われてきませんでした。
今回研究グループは、肠に存在する様々な细胞から成る生理的な肠管上皮细胞を独自に作製しました。この细胞と成熟した脂肪细胞を共培养すると、互いの细胞において炎症诱导性の遗伝子の発现が诱导され、逆に抗炎症性の遗伝子の発现は抑制されることを见出しました。さらに、様々な阻害剤を用いた検讨を行ったところ、この炎症反応は、遗伝子の転写を制御するタンパク质(転写因子)狈贵-&办补辫辫补;叠や厂罢础罢3といったシグナルの経路を介して起こっていることが明らかとなりました。
本研究により、脂肪细胞からの炎症シグナルが肠管上皮细胞に直接的に伝达され得ることが明らかとなりました。肠间膜脂肪の异常はクローン病の発症时より起こると考えられており、本研究で得られた知见は、脂肪细胞で生じる炎症反応がクローン病発症ないしは増悪化の一因となり得ることを示しています。また、肠间膜脂肪の性质を改善するようなアプローチが、新たなクローン病の治疗法につながる可能性も示されました。
「脂肪细胞からの炎症シグナルを特异的に抑えることで上皮の炎症が改善できれば、画期的な新薬やワクチンの开発につながる。今后、本研究のように、细胞间、组织间の相互作用に着目した病因の解明や治疗法の开発に结びつけるような试みはますます盛んになるだろう。本研究は、新たな研究领域を切り拓いたという意味でも大きな意义を持つ」と清野教授は话します。
论文情报
Reciprocal inflammatory signaling between intestinal epithelial cells and adipocytes in the absence of immune cells", EBioMedicine Online Edition: 2017/08/02 (Japan time), doi:10.1016/j.ebiom.2017.07.027.
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