ビフィズス菌が肠の中で増えるために持つ酵素のかたちを解明 ヒトの糖锁をエサにするための酵素のユニークな特徴


ビフィズス菌がヒトの肠内粘膜の糖タンパク质(ムチン)を利用する仕组み(左)と&补濒辫丑补;-狈-アセチルガラクトサミニダーゼ(狈补驳叠产)の全体と活性部位の构造(右)
(左)ビフィズス菌は种々の酵素を放出して糖锁やタンパク质を分解した后、菌体内に取り込む。その断片は狈补驳叠产により糖とタンパク质に分解される。(右)活性部位では、基质の糖(N-アセチルガラクトサミン)の认识に金属イオン(緑の球)が関わっている。
© 2017 Shinya Fushinobu.
东京大学大学院农学生命科学研究科の伏信进矢教授、荒川孝俊助教、佐藤真与大学院生らの研究グループは、ビフィズス菌がヒトの肠内において糖锁を分解して定着?増殖するのに関わる酵素の立体构造と机能を明らかにしました。本研究は、増殖を変化させることにより宿主に好影响を与える新たなビフィズス菌増殖因子(プレバイオティクス)の开発にもつながることが期待されます。
ビフィズス菌はヒトの腸内に共生し、健康に有用な善玉菌として注目を集めている微生物です。ビフィズス菌はヒトと共生するために様々な生存戦略を取っていることが研究によって解明されてきましたが、その一つとして、腸管粘膜の上皮にある糖タンパク質(ムチン)の糖鎖をエネルギー源として生育に利用していることが明らかになってきました。 研究グループは、ビフィズス菌がムチンの糖鎖を利用する際に重要な酵素である、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(狈补驳叠产)に着目して研究を行いました。ビフィズス菌は种々の分解酵素を菌体外に放出することによって、ムチン糖锁の糖やタンパク质を分解して、その断片(糖であるN-アセチルガラクトサミンとタンパク质の断片がつながった糖ペプチド)を菌体内に取り込みます。狈补驳叠产はその断片を糖とタンパク质断片に切断する役割を担います。この酵素の立体构造を齿线结晶构造解析により初めて明らかにしました。狈补驳叠产の全体构造や切断反応を行う活性中心は、ビフィズス菌が持つ他の酵素と部分的に似ていました。一方で、その活性部位には、糖基质であるN-アセチルガラクトサミンの认识に金属イオンが関与しており、この金属が反応において非常に重要であることが明らかになりました。このような基质认识の机构は一连の酵素群においては初めての报告となります。
今回、狈补驳叠产の立体构造を解明することにより、ビフィズス菌が肠内の糖锁を利用して定着?増殖する仕组みがより明确になりました。
「ビフィズス菌はヒトとの共生の过程でこのようなユニークな酵素を获得して进化させてきたのでしょう」と伏信教授は话します。「今后、新たなプレバイオティクスの开発につながれば」と期待を寄せます。
论文情报
The First Crystal Structure of a Family 129 Glycoside Hydrolase from a Probiotic Bacterium Reveals Critical Residues and Metal Co-factors", Journal of Biological Chemistry Online Edition: 2017/05/25 (Japan time), doi:10.1074/jbc.M117.777391.
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