植物の成长を制御する仕组み カルシウムシグナリングと狈尝笔転写因子が担う窒素栄养への応答


硝酸イオンは栄养シグナルとして転写制御を介して植物の成长を促す
硝酸イオンの吸収に伴って细胞内カルシウムイオン浓度が上昇するとカルシウム依存性タンパク质リン酸化酵素が活性化され、狈尝笔転写因子をリン酸化します。リン酸化された狈尝笔転写因子は活性型となり、様々な遗伝子の発现を诱导して植物の成长を促します。
© 2017 柳澤修一
东京大学生物生产工学研究センターの柳泽修一教授らの共同研究グループは、植物が硝酸イオンを栄养シグナルとして感知して成长を促すメカニズムを明らかにしました。本成果は、将来的に农业における肥料の効率的な利用につながると期待されます。
植物は土壌からアンモニウムイオンや硝酸イオンなどを栄养源として吸収して成长します。植物に吸収された硝酸イオンは植物の代谢や成长を调节する信号(シグナル)としても作用します。植物が硝酸イオンを感知して土壌栄养环境に适応しているということは何十年も前に报告されていましたが、长らくその机构は不明なままでした。しかし数年前に、硝酸シグナルは窒素栄养环境への适応を担う键因子である狈尝笔転写因子を活性化することで様々な遗伝子の発现を促すことが分かってきました。
今回、硝酸イオンの吸収に伴って细胞内のカルシウムイオン浓度が上昇すること、これによりカルシウム依存性のタンパク质リン酸化酵素が活性化されて狈尝笔転写因子をリン酸化することが分かりました。リン酸化された狈尝笔転写因子は活性型となって、窒素同化や炭素代谢、植物ホルモンの代谢、次のステップの遗伝子発现の制御を担う転写因子などの遗伝子の発现を引き起こし、植物の成长を促します。
现代の农业では、作物の収量を増加させるためにたくさんの窒素肥料を栄养として投入しています。窒素栄养がシグナルとして植物の成长を调节する机构が完全に明らかになれば、窒素肥料の効率的な利用に结び付けられる可能性があります。
「数年前に、私达はこの硝酸イオンへの応答を担う键因子として狈尝笔転写因子を同定しました。しかしながら硝酸シグナルがどうやって狈尝笔転写因子の働きを调节しているのかまではわかりませんでした」と柳泽教授は话します。「今回、その调节机构の実体をとうとう明らかにすることができ、非常に感慨深いものがあります」と続けます。
なお本研究は、米国ハーバード大学、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校と共同で行われたものです。
论文情报
Discovery of nitrate–CPK–NLP signaling in central nutrient–growth networks", Nature Online Edition: 2017/05/10 (Japan time), doi:10.1038/nature22077.
论文へのリンク()