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絶縁体中に磁场で曲がる热输送过程があることが判明 未知の磁性状态を研究するための新しい测定手法の発见

掲载日:2016年9月7日

© 2016 Minoru Yamashita.温度と磁场で规格化され热ホール伝导率(左轴)と磁化率(右轴)の温度依存性。磁化率が极大を示す温度付近でスピン液体の形成が始まります。その温度领域で热ホール伝导率も大きくなっていることから、スピン液体の形成と热ホール効果の発现が强く関係していることが示唆されます。

カゴメ物质ボルボサイトで観测された热ホール伝导率(左轴)と磁化率(右轴)の温度依存性
温度と磁场で规格化され热ホール伝导率(左轴)と磁化率(右轴)の温度依存性。磁化率が极大を示す温度付近でスピン液体の形成が始まります。その温度领域で热ホール伝导率も大きくなっていることから、スピン液体の形成と热ホール効果の発现が强く関係していることが示唆されます。
© 2016 Minoru Yamashita.

东京大学物性研究所の山下穣准教授らの研究グループは、电気の流れる金属中でしか観测されないホール効果と同様の现象が、电気の流れない絶縁体であるスピン液体状态で発见しました。これは谜の多いスピン液体状态を研究するための新しい研究手法を示す画期的な成果です。

磁场の中を移动する电子は、磁场から力を受けて(ローレンツ力)、その轨道が曲げられます。その结果、磁场の大きさに比例する电圧が现れることが知られています。ホール効果として知られるこの现象は、金属中の电子に対する基础物性测定から、スマートフォンの中の磁気センサへの応用まで様々なところに利用されている现象です。このホール効果は金属中を流れる电子に対するローレンツ力がその起源であるため、电気の流れない絶縁体には存在しません。ところが最近、絶縁体中の磁性を担う「スピン」が类似のホール効果を示すことが理论的に提案され、注目を集めています。スピンは电気を运びませんが、热を运ぶことができるため、このホール効果は热ホール効果として観测されます。

今回、研究グループは、このスピンによる热ホール効果を铜鉱物の一种であるカゴメ物质ボルボサイトにおける「スピン液体」の研究に応用して、スピン液体状态に热ホール効果が现れることを见出しました。スピン液体状态はスピン同士が强く相関しているにもかかわらず絶対零度(マイナス273度)までスピンが磁気的な秩序を示さない未知の状态で、普通の磁性体とは异なる新しい现象が现れることが期待されていますが、その详细は未だ谜のままです。本成果はこのスピン液体研究について、新しい研究手法を提案するものです。さらに、この热ホール効果の大きさがスピン液体の形成と関连していることを初めて明らかにしました。これは热ホール効果が生じることが、未知のスピン液体の形成と强く関连していることを示しており、今后のさらなる展开が期待されます。

「絶縁体のスピン液体に热ホール効果なんて现れないと思っていたので、测定の间违いではないかと疑っていました」と山下准教授は话します。「検証には时间がかかりましたが、低温でスピン液体状态が形成されるにしたがって热ホール効果が大きくなる现象が観测されて确信を得るようになりました。今后、この测定手法を様々な物质に応用することで、スピン液体の详细を理解できるようにしたいです」と続けます。

论文情报

Daiki Watanabe, Kaori Sugii, Masaaki Shimozawa, Yoshitaka Suzuki, Takeshi Yajima, Hajime Ishikawa, Zenji Hiroi, Takasada Shibauchi, Yuji Matsuda, and Minoru Yamashita, "Emergence of nontrivial magnetic excitations in a spin-liquid state of kagomé volborthite", Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States America Online Edition: 2016/07/21 (Japan time), doi:10.1073/pnas.1524076113.
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