スロー地震の巨大地震との関连性 これまでのスロー地震研究から见えてきたこと
东京大学地震研究所の小原一成教授と加藤爱太郎准教授は、近年発见されてきた、通常の地震よりも断层がゆっくり动くスロー地震(ゆっくり地震)という现象の特徴から、スロー地震とプレート境界に発生する巨大地震との関连について3つの可能性を指摘しました。スロー地震の継続的な観测は、巨大地震の発生予测に新たな视点を提供するものと期待されます。
スロー地震は、断层破壊がゆっくりと进行する地震现象であり、强い揺れを伴いません。しかし、スロー地震の多くは沉み込むプレート境界面上で巨大地震発生域に隣接し、しかも巨大地震と同じタイプの断层运动によって地震が生じることから、スロー地震と巨大地震との関连性が示唆され、世界中でスロー地震研究が盛んに行われてきました。
今回、小原教授と加藤准教授は、発见されてから20年にも満たないこれらのスロー地震の観测研究に基づき、スロー地震が巨大地震に対して以下の3つの役割を担う可能性を有することを示しました。
一つ目は、巨大地震の類似現象(Analog)としての役割です。つまり、スロー地震の活動様式が巨大地震とよく似ており、さらにスロー地震は非常に高い頻度で発生することから、巨大地震の発生様式を理解するためのヒントを与える可能性があります。二つ目は、巨大地震の発生領域にかかる力の状態を反映する指標(Stress meter)としての役割です。スロー地震はその周囲に働く力の変化に敏感であるため、巨大地震の震源域において蓄積していく力の状況に応じて、隣接するスロー地震の活動パターンが変化する可能性があります。三つ目は、スロー地震が力を加えることで(Stress transfer)、巨大地震を引き起こすという役割です。スロー地震の発生によってその周囲に力を配分することがあるため、隣接した巨大地震の震源域における断層の破壊を促進する可能性があります。
スロー地震に関するこれまでの観测研究结果を、巨大地震との関连性という観点で整理し直した本研究を指针として、今后もスロー地震の活动を継続的に観测し、その活动様式や発生原因の解明を进めることにより、巨大地震の発生过程に関する理解の进展にも繋がることが期待されます。
「私がスロー地震の一つである深部低周波微动を2002年に世界で初めて発见したときは、この现象が巨大地震と関わりがあるのではという、漠然とした恐怖心を抱きました」と小原教授は话します。「しかし、スロー地震の研究が进むにつれて、巨大地震との関连についてもいくつかの可能性が明らかになり、今后取り组むべきスロー地震研究の方向性が见えてきたような気がします」と続けます。
论文情报
Connecting slow earthquakes to huge earthquakes", Science Online Edition: 2016/07/15 (Japan time), doi:10.1126/science.aaf1512.
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