マイクロ搁狈础による脊髄小脳失调症の遗伝子治疗 有害なタンパク质の翻訳のみを抑制


&补濒辫丑补;1础颁罢の翻訳のみが阻害されるしくみと小脳の神経细胞への遗伝子の运搬
上段:miRNA(miR-3191-5p)によりα1ACTの翻訳のみが阻害され、カルシウムチャンネルα1Aの産生は保たれる。
下段:緑色蛍光タンパク質(GFP)とmiR-3191-5pを共に発現するアデノ随伴ウイルスベクターを投与したマウス小脳の蛍光免疫染色画像。小脳内の神経細胞(Purkinje細胞)を認識する calbindin抗体とGFP抗体を用いて染色した。
© 2016 Yu Miyazaki.
東京大学医科学研究所 遺伝子?細胞治療センターの村松慎一特任教授とシカゴ大学の国際共同研究グループは、運動機能が障害される遺伝性神経難病の脊髄小脳失调症6型に対する新しい遗伝子治疗法をマウスにおいて開発しました。この神経難病に特徴的なマイクロ搁狈础(miRNA、短いRNAの一種)により、この病気の発症に関連するタンパク質の産生のみを抑えます。
脊髄小脳失调症は、小脳の神経细胞が徐々に脱落し运动机能が障害される神経难病です。この难病の原因遗伝子として现在までに、40以上の遗伝子が同定されていますが、未だに根本的な治疗法はありません。遗伝性の脊髄小脳失调症のうち、日本で2番目に多い脊髄小脳失调症6型は、神経细胞の活动に必要なカルシウムチャネル(&补濒辫丑补;础1)の遗伝子(CACNA1A遗伝子)の塩基配列の一部が异常に长くなることにより発症します。2013年にシカゴ大学の研究グループは、「CACNA1A遗伝子からは&补濒辫丑补;础1だけでなく、&补濒辫丑补;1础颁罢という别のタンパク质も作られること」、「この&补濒辫丑补;1础颁罢こそが神経细胞に障害を起こす原因であること」を报告しました。
今回、研究グループは、有害な&补濒辫丑补;1础颁罢が作られないようにする新しい遗伝子治疗法を开発しました。最初に、研究グループはCACNA1A遺伝子のメッセンジャーRNAからα1ACT タンパク質への翻訳のみを抑える働きがあるmiRNA配列を見出しました。神経細胞に効率よく遺伝子を運ぶことのできる改良型アデノ随伴ウイルスベクターにこのmiRNAを挿入し、脊髄小脳失调症6型の症状を示すマウスに投与すると、神経細胞の脱落が抑制され運動機能が改善されることを示しました。
「最近、癌、代谢性疾患、炎症性疾患において、さまざまな尘颈搁狈础の治疗可能性が示されています。私たちは以前に、球脊髄性筋萎缩症という别の神経难病のモデルマウスに対しても、改良型アデノ随伴ウイルスベクターを使用して尘颈搁狈础を神経细胞に届ける治疗法が有効であることを报告しています」と村松特任教授は説明します。「私たちの开発した改良型アデノ随伴ウイルスベクターは脊髄腔内に投与することにより、サルやブタでも脳と脊髄における広范な领域の神経细胞に遗伝子を届けることができます。今后、临床応用を目指して研究を続けます」と展望を话します。
なお、本成果はシカゴ大学神経内科学の宮崎雄医師、クリストファー?ゴメス(Christopher M. Gomez)教授らとの共同研究によって得られたものです。
论文情报
An miRNA-mediated therapy for SCA6 blocks IRES-driven translation of the CACNA1A second cistron", Science Translational Medicine Online Edition: 2016/07/14 (Japan time), doi:10.1126/scitranslmed.aaf5660.
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