痛みを运ぶ分子モーター 细胞内の输送が痛みニューロンの感受性を高める


脊髄后根神経节の痛みニューロン
痛みを知覚するマウス感覚ニューロンの免疫染色像(白色の细胞)。痛みニューロンはこれらの细胞体から末梢の皮肤と脊髄内の両者へと轴索を伸ばしていますが、碍滨贵1础の作用で痛みを正常に知覚し、中枢に伝えます。
© 2016 田中庸介、廣川信隆
东京大学大学院医学系研究科の广川信隆特任教授、田中庸介助手らの研究グループは、私たちの痛みの感覚には分子モータータンパク质によるタンパク质の输送が関与していることを、マウスを用いた実験により示しました。痛みを制御するための新たな创薬ターゲットとして、分子モータータンパク质の有用性が期待されます。
痛みの感覚は末期癌などの慢性疾患の患者の生活の质を极度に下げるものです。同时に、痛みや热さの感覚は、まったくなければ日常生活の上で大きな支障を来たす感覚でもあります。私たちの痛みの感覚がどのように制御されているか、という分子的机构には実はまだ不明な点が多く残されています。
今回、研究グループは分子モータータンパク质の一种、碍滨贵1础の遗伝子机能が半分损なわれたマウスを作出したところ、热さや痛みの感覚に进行性の障害があることがわかりました。さらなる分析の结果、研究グループは、外界からの刺激を最初に受け取って伝える神経细胞(一次感覚ニューロン;図)の突起内(轴索末端)へと神経栄养因子受容体チロシンキナーゼ罢谤办础を载せた膜状の构造(膜小胞)を碍滨贵1础が输送し、罢谤办础のシグナルが痛みを认识するタンパク质(罢搁笔痴1受容体)の感受性を上げることによって、正常な痛みの感覚が生じていることを発见しました。
全45种类以上の碍滨贵分子モーターはヒトのすべての细胞内において、ミクロの货物列车のような细胞内物质の输送の键を担っている机能分子ですが、その机能的意义はまだ少ししかわかっていませんでした。今回の成果は、生命の根源的な机能を担う碍滨贵分子モーターの一次感覚ニューロンにおける新しい生理机能?临床的意义をはじめて解明する成果です。
「碍滨贵分子モーターはあらゆる生命机能の要であることを改めて感じています」と广川特任教授は话します。「われわれの痛みの感覚もまさに同様ですね」と続けます。
论文情报
The Molecular Motor KIF1A Transports the TrkA Neurotrophin Receptor and Is Essential for Sensory Neuron Survival and Function", Neuron: 2016/06/03 (Japan time), doi:10.1016/j.neuron.2016.05.002.
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