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新しいスピン状态を絶対零度付近にて発见 正四面スピンによる热力学への挑戦

掲载日:2016年6月17日

© 2016 益田隆嗣(a)と(b)の中性子スペクトルから、安定状態と励起状態がどのようにエネルギー分布しているかが分かります。 (c)のエントロピーのデータから、絶対温度0度に向かってエントロピーが0に向かい、状態の数が2つから1つに減っていく様子が観測されました。

スピンフラストレーション磁性体叠补3驰产2窜苍5翱11の中性子スペクトルとエントロピー
(a)と(b)の中性子スペクトルから、安定状態と励起状態がどのようにエネルギー分布しているかが分かります。 (c)のエントロピーのデータから、絶対温度0度に向かってエントロピーが0に向かい、状態の数が2つから1つに減っていく様子が観測されました。
© 2016 益田隆嗣

东京大学物性研究所の益田隆嗣准教授らの研究グループは、四面体の顶点にスピンが配置された物质において、热力学の法则と一见矛盾する2つの安定的な状态を観测しました。絶対零度に近い极限まで温度を下げていくと、极低温で液体のようなスピン状态を発见し、法则が守られていることが确认しました。

スピンとは、粒子が持つ基本的な性质の一つで、上向きと下向きの异なる2つの状态が知られています。お互いが反対方向を向くような力が働いている场合、2つのスピンだけを考えればお互いが反対方向を向くことが最も安定的な状态(エネルギーの最も低い状态)です。しかし、この状态に3つ目のスピンが加えられて叁角形の构造を作る场合、3つ目のスピンは上向きにも下向きにもなれるため、复数の安定な状态が可能です。このように3つ目のスピンが上向きにも下向きにもなれることをスピン同士のフラストレーションが生じたといいます。さらに正四面体の顶点に4つのスピンを配置した场合、より多くの安定な状态が存在しえます。

一方で热力学の第叁法则において、絶対零度(-273.15℃)では、物质は结晶内でたった一つの安定した状态に落ち着くと提唱されています。したがって、絶対零度で结晶中の四面体スピンに复数の安定な状态が実现することは、热力学の第叁法则と矛盾するという问题がありました。

研究グループは共同で、スピンにフラストレーションが存在する磁性体叠补3驰产2窜苍5翱11について、中性子を用いて物质内部の状态を调べました。すると、正四面体スピンが実现していることと、四面体の间の相互作用は小さくほぼ孤立していることが分かりました。さらに正四面体スピンは二つの安定状态を有しており、热力学法则と一见矛盾していました。そこで真の安定状态を探したところ、絶対零度に近づくにつれてエントロピーが徐々にゼロに向かい、极低温では一つの状态が选択されることが确认されました。この状态は、スピンの间に秩序が存在しない新しいスピン液体状态であることが分かりました。

「オーストラリアの中性子実験装置を用いて、正四面体スピンの存在が明らかとなったときには、远くまで実験しに来たかいがあったと思いました」と益田准教授は话します。「日本に持ち帰ったデータを博士课程の大学院生の白椽大君(当时)が、ち密な计算をもとにスピンモデルを明らかにした际には、教え子の成长をうれしく思いました」と続けます。

今回発见されたスピン液体状态には未知な点が多いですが、状态の详细がさらに明らかにされれば、量子コンピュータに応用されることも期待されます。

论文情报

T. Haku, K. Kimura, Y. Matsumoto, M. Soda, M. Sera, D. Yu, R. A. Mole, T.Takeuchi, S. Nakatsuji, Y. Kono, T. Sakakibara, L.-J. Chang, and T. Masuda, "Low-Energy Excitations and Ground State Selection in Quantum Breathing Pyrochlore Antiferromagnet Ba3Yb2Zn5O11", Physical Review B (in press)
论文へのリンク(、春雨直播app Repository

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