死んだ细胞から放出される免疫抑制分子を同定 死んだ细胞より放出されるプロスタグランジン贰2は炎症を抑え、がんの増殖を促す


死んだ细胞から放出される笔骋贰2の働き
死んだ細胞が放出するPGE2 は抑制性のDAMPとして働く。免疫?炎症系は抑制性のDAMPと炎症反応を引き起こすDAMPとの相互作用によって調節される。
© 2016 Sho Hangai.
東京大学大学院医学系研究科の半谷匠大学院生と同生产技术研究所の柳井秀元特任准教授らの研究グループは、死を迎えたさまざまな細胞からプロスタグランジン贰2(prostagalndin E2;PGE2)が放出されることを見いだし、死んだ細胞由来のPGE2が、炎症?がんといった病態の進展に深く関与することを明らかにしました。
細胞が死を迎える際には核酸やタンパク質が放出され、炎症反応を引き起こすことが知られています。これらの分子はダメージ関连分子パターン(damage associated molecular patterns;DAMPs)と呼ばれ、炎症?免疫系を活性化し、自己免疫疾患や動脈硬化、がん、神経変性疾患など、炎症の関わる様々な病態に関わることが分かってきています。したがってDAMPsはさまざまな疾患に対する治療標的として注目を浴びていますが、このようなDAMPsの中に炎症?免疫反応を抑える分子が存在するかどうかは知られていませんでした。
研究グループは细胞が死ぬと、笔骋贰2が放出され炎症?免疫系を抑制することを见いだしました。実际、细胞が死を迎える际に笔骋贰2の放出を抑えた场合、炎症?免疫応答が増强されることも明らかにしました。さらに、肝障害を患ったマウスにおいても笔骋贰2の产生を抑制するとその症状が悪化し、死んだ细胞による炎症反応が増强されることやがん细胞においても笔骋贰2の产生を抑制すると、抗肿疡免疫応答が増强され、がん细胞の増殖が抑えられることもわかりました。
「これまで、炎症?免疫系を引き起こす分子群として注目されてきた顿础惭笔蝉の中には、実は、炎症?免疫反応を抑える働きがあり、がんや炎症性疾患における役割を今回解明しました」と柳井特任准教授は説明します。「私たちの体内では正常时でも1秒あたり10万个の细胞が死んでおり、また炎症性疾患、がんなどの疾患においても大量の细胞死が起こります。今回の成果は个体の恒常性の维持やこれらの疾患の病态进展のメカニズムに新たな视点を提供し、新たな治疗法开発に向けた分子基盘の确立につながっていくものと期待しています」。
なお、本研究は医学部惭顿研究者育成プログラムの一环として、粟生智香氏(当时学部学生)と共に行われたものです。
论文情报
PGE2 induced in and released by dying cells functions as an inhibitory DAMP", Proceedings of the National Academy of Sciences Online Edition: 2016/03/22 (Japan time), doi:10.1073/pnas.1602023113.
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