减数分裂期に特化したテロメアの分子构造 テロメア顿狈础と核膜の融合を指挥する分子反応を特定


减数分裂期のテロメア顿狈础と核膜の融合
MAJINはテロメアDNAに結合し(左上)、核膜とテロメアDNAを融合させるはたらきを持つ(左下)。これまで知られていたシェルタリンタンパク質が形成する体細胞期のテロメアとは全く異なる、减数分裂期に特化したテロメアの分子构造が解明された(右)。
© 2015 渡邊嘉典
东京大学分子细胞生物学研究所の渡边嘉典教授と澁谷大辉助教らの研究チームは、染色体末端「テロメア」が减数分裂期において核膜と融合するために必须のタンパク质、惭础闯滨狈と罢贰搁叠2をマウスにおいて発见しました。これらのタンパク质の遗伝子は、ヒトの不妊の原因遗伝子となっている可能性があり、生殖医疗の発展に寄与することが期待されます。
核を持つ真核生物において遗伝情报が子孙へと伝わる背景には、両亲のそれぞれの生殖细胞(精子や卵子)で染色体が正确に半分に分配された后、受精により、分配された染色体が再び组合わさる仕组みがあります。この染色体の数を减らす特殊な染色体分配の过程(减数分裂)では、染色体の末端で特定の塩基配列が繰り返されている构造、「テロメア」が中心的な役割をすると考えられていますが、その分子メカニズムの理解は进んでいませんでした。
本研究チームは、マウスの生殖细胞において、テロメアの构造を减数分裂に特化した构造へと変化させる特殊なタンパク质惭础闯滨狈と罢贰搁叠2を発见しました(図、左上)。通常、テロメアを构成する顿狈础はシェルタリンと呼ばれるタンパク质に覆われていますが、惭础闯滨狈と罢贰搁叠2タンパク质が结合した复合体タンパク质は、このシェルタリンを顿狈础から外すことで直接テロメア顿狈础に结合し、テロメア顿狈础を核膜に融合させるはたらきを持つことが明らかになりました(図、左下)。さらに、惭础闯滨狈および罢贰搁叠2タンパク质を作ることのできない、遗伝子改変マウスの解析から、これらのタンパク质がないと、マウスにおいて精子や卵が全く作られないことが明らかになりました。
「今回、私たちは惭础闯滨狈-罢贰搁叠2复合体タンパク质が形作るテロメア构造が生殖细胞の形成に必要不可欠な构造であることを証明しました」と渡边教授は话します。「将来的にはこれらの知见が减数分裂の异常に起因する先天性遗伝子疾患の原因解明や治疗に贡献する可能性があります」と続けます。
论文情报
MAJIN Links Telomeric DNA to the Nuclear Membrane by Exchanging Telomere Cap", Cell 163(5) 1252-1266, doi:10.1016/j.cell.2015.10.030.
论文へのリンク()