前立腺癌に対してホルモン疗法が効きづらくなる理由 エピゲノムの変化が耐性获得に関与


前立腺癌の细胞がホルモン疗法耐性に至る仕组みと今回発见した仕组みに基づいて前立腺癌悪性化の抑制に成功した様子
(左)ホルモン療法に対する耐性を獲得した場合、マイクロ搁狈础-29の発現は上昇している。それによりDNA修飾を担うTET2遺伝子の発現が減少し、細胞内のエピゲノム状態を変化させ、前立腺癌関連遺伝子群は活性化される。
(右)マウス皮下にホルモン療法に耐性を示す前立腺癌の腫瘍を発生させた。ホルモン療法を続けたマウス(コントロール)では腫瘍の増殖が見られるが、マイクロ搁狈础の発現を抑制すると腫瘍の増殖が抑えられた。
© 2015 高山賢一
东京大学大学院医学系研究科抗加齢医学讲座の井上聡特任教授と同医学部附属病院老年病科の高山贤一助教らの研究グループは、前立腺癌のホルモン疗法に対して获得される抵抗力(耐性)について、その仕组みをエピゲノムの観点から世界で初めて明らかにしました。
前立腺癌は男性で最も频度の高い癌であり、その発症者、死亡者は日本でも急激に増加しており男性の健康上の重要な问题です。男性ホルモンであるアンドロゲンの作用は前立腺癌の発生、进展を担っているため、前立腺癌の治疗にはアンドロゲンの作用を抑制するホルモン疗法が有効であり、広く普及しています。しかし、ホルモン疗法に対する耐性を获得することが癌治疗において大きな问题となっています。そのため前立腺癌のホルモン疗法について、どのようにして耐性化が获得されるかという仕组みを解明することが待ち望まれていた。
今回、研究グループは、アンドロゲン作用やホルモン疗法の耐性の获得に伴い活性化されるマイクロ搁狈础が顿狈础修饰を担う罢贰罢2遗伝子の発现を癌细胞全体において抑制することで、エピゲノム状态を変化させていることを见出しました。このエピゲノム状态の変化が、癌関连遗伝子の発现やアンドロゲンの作用を活性化し癌悪性化の键として関わっていることがわかりました。
「前立腺癌细胞がホルモン疗法に対する耐性を获得したマウスに、マイクロ搁狈础の働きを抑制する薬剤を投与すると、ホルモン疗法の効き目が高まりました」と井上特任教授は説明します。「実际に前立腺癌を患っている患者さんの细胞で発现されているマイクロ搁狈础の量を分析したところ、マイクロ搁狈础の発现が高いほど前立腺癌を再発しやすいこともわかりました」と続けます。
この成果は、ホルモン療法が効きづらくなった癌の新たな治療戦略の確立に役立つものと期待されます。本研究は文部科学省ならびに日本医療研究開発機構(AMED)の「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム『ノンコーディングRNAを標的とした革新的がん医療シーズ』」の一環として行われたものであり、ロンドン時間2015年9月25日に科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に発表されました。
なお、本研究は东京大学医学部附属病院泌尿器科と共同で行いました。
[PDF]
论文情报
TET2 repression by androgen hormone regulates global hydroxymethylation status and prostate cancer progression", Nature Communications: 2015/09/25 (Japan time), doi:10.1038/ncomms9219.
论文へのリンク(、)