Beitr?ge zur neueren Literaturgeschichte [Dritte Folge], Volume No.: 426 (「近代独文学史への寄与」シリーズ) Anschauen und Benennen (直観と命名) Beitr?ge zu Goethes Sammlungen und Studien zur Naturwissenschaft (ゲーテの自然科学コレクションおよび自然研究に関する论文集)
2020年春に日本学術振興会 (JSPS)?二国間交流事業 (共同セミナー) に採用されて喜んだのもつかの間、Covid-19感染拡大で学術活動に制限がかかり、同年度の対面セミナー開催など夢のまた夢になってしまった。セミナー開催趣旨が、昨今疎かにされがちな原点回帰、つまり「オンラインでは経験できない、ヴァイマルに現存する世界で唯一のゲーテの自然科学コレクションを前に、相互の意見交換を図る」ものだったため、対面以外の選択肢は日独双方の研究代表者兼編集者のふたりにはなかった。交渉と延長申請を繰り返した挙句、助成が打ち切られる寸前でドイツ研究財団 (DFG) からハイブリッド方式での開催許可が下り、2022年3月にヴァイマルのゲーテ?シラー文書館で日独ワークショップ開催の運びとなった。いざ渡航となった直前、今度はウクライナ情勢悪化で、直行便はロシア上空回避ルートをとるという。11時間以内だった飛行時間が南回りの15時間近くに延び、不思議な気持ちで、窓の外の馴染みのない景色を眺めていたのを思い出す。そしてフランクフルトに到着するや否や、復路の欠航が告げられるやら、予期せぬ事態の連続だったが、それでも行った甲斐は十分にあった。
日本人が连想するゲーテは〈文豪〉や〈诗人〉であり、彼が〈エリート官僚〉としてさまざまな〈自然科学〉分野の课题に取り组んだことを知る人はいまだ少ない。自然科学论文も执笔し、彼が生前収集した膨大な个人コレクションがヴァイマルに现存することも――。既存の偏ったイメージを崩し、究极の一次资料を使うゲーテ研究の楽しさ?豊かさをアピールすべく计画した本セミナーでは、ヴァイマルに现存するゲーテの手稿やコレクションを使って、博物学?音响学?色彩论?天文学?昆虫学などさまざまな分野との関连で兴味深い研究発表と活発な讨议が行われた。
だが、二国间交流事业からは出版助成费用が出ない。セミナー终了直后からドイツ侧研究代表者のエックレと成果出版の可能性を探った。彼女が复数のドイツ国内学术出版社に打诊する一方で、私はアレクサンダー?フォン?フンボルト财団に出版助成申请书を作成?提出した。コロナ祸とウクライナ情势は学问の世界にも暗い影を落とし、「2022年以内刊行ならば助成可能だが、翌年以降は约束できない」との返信を11月に受けた。さすがに残り2か月を切った时点で「年内は无理」と交渉し、「年度内」に期限を延长してもらった。年末の校了まで、エックレと二人、お互い授业を含む本务があったが、交互に目を皿のようにして何十回もゲラを読み、分缀や误字脱字をチェックし、必要なら出典も再确认し、表纸を决め、広告文を考え、毎日何度も出版社を含めてメールのやりとりをした。こうして出来上がった论文集が本书である。试练が続いたが、共同编集作业はやりがいがあり、よい経験になった。たとえば最终章のヴィダー论文要约を和訳する际、ある単语について定訳があるか问い合わせた目黒寄生虫馆の仓持馆长には、「ゲーテがハエカビを観察していたとは!」と惊かれた。おそらくこれからもずっとゲーテ研究に従事する私たちが编集した本书が、一次资料を扱うゲーテ研究の醍醐味を読者に届け、他分野との学术交流がさらに広がっていくことを期待したい。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 石原 あえか / 2023)
本の目次
摆和訳目次闭
序文と謝辞 (エックレ & 石原)
论文
- エックレ、ユッタ:「〈误り〉とは、まるで真実がそうでないかのような状态にあることで、自分や他人に误谬を発见するのは、后戻りの発明である」 『箴言と省察』における一连のゲーテの视覚认识について
2.桑原 聡:「ゲーテのイタリア紀行と〈クンストカ[ン]マー〉構想
3. ヘップナー、シュテファン: 本棚の世界 ゲーテ自家所蔵文庫における自然科学系書籍の占有率について
4. カナール、エクトル:ラ?ロッシュ標本 ゲーテ所蔵コレクションにおける一鉱物リストの同定と年代判定
5. ゴチェフスキ、ヘルマン: ゲーテの音响学シェーマとオイラーの『新音楽理论の试み』 ふたりの〈门外汉〉による音楽研究アプローチの比较
6.エッセルボルン、ハンス: ゲーテは自然を、ジャン?パウルは学术议论を観察する 1800年前后の自然科学に対するふたりの作家の异なるアプローチ
7. 濱中 春:色彩の現前 ゲーテの『色彩論』とニュートンの『光学』における図像の物質性
8.シンマ、ザビーネ:武装する眼差し ゲーテの自然科学研究における目と光学机器
9.石原 あえか:ゲーテ時代の天文事象 1811年の大彗星と彗星ワイン (アイルファ―)
10.ヴィダー、マルグリット:「消灭を通して生に急ぐ」 ゲーテの昆虫研究
全集等略记号
図版一覧
付録?日本语による「目次と要約」 (石原 訳)
関连情报
Uwe Hentschel 評 (『Informationsmittel (IFB)』31.2 [#8564] 2023年
ブックトーク:
東京大学総合図書館シリーズイベント「東大研究者の本棚」Part 3
石原あえか教授ブックトーク「言叶の海を泳ぐ」 (総合図书馆主催?驹场図书馆共催 2023年3月14日)
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