EAA Forum15 中国现当代文学研究的方法及其射程
現在の日本では信じられないかもしれないが、文学研究はあらゆる人文学研究に通じる広い研究分野である。日本でもかつては文学研究が人文学をリードした時代があったし、少なくとも中国では現在でも大きな力を持っている。すなわち文学研究とは、限定された「文学」の領域を研究することにとどまらず、人間社会のあらゆる問題を先鋭的に追究する分野である。それはなによりも、文学作品が社会の諸問題に反応し、それを言语化する表現行為だからである。もちろん文学は現実をそのまま表現するとは限らない。極めて個人的な心情の奥底を表現することもある。表現の対象および表現の手法の多様さは、文学の特質である。しかしそういった多様性を含みつつ、なんからかの形で現実に応答するのが文学であり、だからこそ文学研究は狭いアカデミズムを超え出る力を持っている。
本书は中国の文脉に即しつつ、文学を通して现代社会の诸问题を论じた论集である。本书で考えられた问题の中心は中国の歴史と社会であるが、しかしそれは中国という特殊な国の问题ではない。作者の中には、アメリカで活跃している研究者、日本で活动している研究者が含まれている。扱われたテーマは多様であるが、多くの作者は、いかに表现されたかという次元に関心を寄せている。すなわち多様な背景をもつ作者が、中国の文学作品を手がかりにして、中国に限定されない普遍性に届くテーマを论じている。
じつは本书はコロナ时代の产物でもある。そもそもの発端が、コロナの流行により直接の往来ができなくなったとき、代替としてオンラインで讲演会やワークショップを开いたことであった。本书にはオンラインによる学术交流の记録という意味がある。重要なのは、コロナ时代の刻印が、本书で论じられた问题の至るところに残されていることである。コロナが人类に大きな伤を残したことは言うまでもない。おそらく歴史の大きな転换点として后世に记忆されるだろう。歴史的な転换を明らかにするのは、后世の任务である。しかし时代の激変のなかで何を考えていたかを残すことも意味があるだろう。激変を感じながら、直接交流の道が夺われたとき、人々は过去の文章を読みながら、目の前の问题を考えた。本书はそのような思索の记録でもある。
本書の本となる講演会とワークショップでは、議論を深めるため、通訳を介さなかった。そのため本書は完全に中国语で書かれている。多くの人にとっては敷居が高いかもしれない。しかし可能であれば本書に挑戦し、中国における文学研究がいかなる射程を持っているかを感じとって欲しい。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 鈴木 将久 / 総合文化研究科?教养学部 准教授 王 欽 / 2023)
本の目次
1. “当代文学”的“极限”与“下限” 罗岗
2. 文学批评如何直言:从《主体的倒影:历史巨变的精神图景》说起 朱羽
3. 现当代文艺中的“善良”及其后果 毛尖
4. “能说的”小说与“作快板的话”:《“锻炼锻炼”》与小说的文类学 朱康
5. 现代“科学”观念的复古创新:兼及章太炎医论的一些启示 石井刚
6. 中国现当代文学中的“情感”问题 铃木将久
7. “新的抒情”:何其芳《夜歌》中的“心境”与“工作” 姜涛
8. 风格 · 文气 · 体式:如何着手研读散文 倪文尖
9. 团结于远方:革命世纪和中国作家的旅行书写 王璞
関连情报
【報告】「对近20 年来中国现当代文学研究的反思」 (東京大学 東アジア藝文書院 - EAA 2023年12月11日)