生命知能と人工知能 础滨时代の脳の使い方?育て方
本书は、楽しく豊かな人生を送ることを究极の目的として、脳と人工知能を対比しながら、脳の动作原理を考察し、その使い方と育て方を考えます。
本书では、私たちの脳に宿る「知能」を「生命知能」と呼び、人工知能的な知能とは区别します。「生命知能」と「人工知能」は本质的に异なる知能です。笔者の结论を一言で记すならば、现在の人工知能は「自动化」、生命知能は「自律化」のためにあります。「自动化」とは既存のルールを守ること、「自律化」とは新しいルールを作ることです。私たちの社会では、どちらの知能も生きていくうえで欠かせません。
人间は、「意识」を有する点でも、人工知能とは决定的に异なります。意识とは、感覚器から得た情报に基づき、脳の中に创られるシミュレーション世界です。各人の脳が同じ感覚情报を受け取ったとしても、意识の世界は各人で异なります。また脳は、基本的には超并列な情报処理システムですが、意识システムの中では明确な时间轴を定义し、逐次的に情报を処理します。このような逐次的な情报処理により、脳はものごとの因果性を见出します。
本书では、自律性を失うことを人工知能化、意识の利用を放弃することをゾンビ化と表现し、人间や社会の人工知能化とゾンビ化に警鐘を鸣らします。そうならないために、大学生のころから、强い生命知能と豊かな意识システムを锻えることを忘れてはなりません。
本书は3部构成です。
「第1部 私たちの脳と计算机」は基础编です。工学部で脳研究を进めてきた笔者にとって、どうして生物や脳が兴味深いと思うのかを绍介します。特に、ハードウエアとしての特徴、「ダーウィニズム」という原理原则、エネルギー効率の観点から考察します。これらの考察を通じて、笔者が、脳を理解するために大切だと思う基础知识をまとめました。
「第2部 知能とは何か」は脳研究の実践编です。エピソードを交えながら、笔者がどのようなことを考えながら、工学部で脳の研究を进めてきたかを绍介します。これまで笔者が问い続けてきたのは、「知能とは何か?」です。「第4章 生命知能を创る」では脳组织から知能を创る试み、「第5章 知能はどう育つか」では脳活动から知能の源泉を探求する试みを绍介します。
「第3部 知能を支える意识」は応用編です。脳は、芸术、科学、宗教など、さまざまな文化を生み出し、発展させてきました。脳はどうして、またどのようにして、芸术、科学、宗教を生み出したのでしょうか。この疑問にこそ、脳の動作原理を解明するカギがあるはずです。筆者は、芸术、科学、宗教を支える共通の脳の仕組みが、意識であると考えます。
これからのウィズ人工知能时代を楽しく幸せに生きていくために、私たち人间は、人工知能的な戦略と生命知能的な戦略を両轮として、意识システムをフル活用することが、今后ますます求められるでしょう。
(紹介文執筆者: 情报理工学系研究科 准教授 高橋 宏知 / 2022)
本の目次
第1部 私たちの脳と计算机
第1章 脳という巨大な情报システム
第2章 进化から见る脳
第3章 脳は胜手に动く
第2部 知能とは何か
第4章 生命知能を创る
第5章 知能はどう育つか
第3部 知能を支える意识
第6章 意识とは何か
第7章 人工知能は芸术作品を創れるか
第8章 意识が科学と宗教を生んだ
终章 强い生命知能と豊かな意识を育てるために
関连情报
成相裕幸 評「ブックガイド 自分の脳を育てる方法がある?!」 (ニュースがわかるオンライン 2022年7月20日)
竹内薫 評「共存の鍵は人間の意識に」 (日本経済新聞 夕刊12面 2022年3月3日)
西成活裕 評「自律化と自動化を対比」 (読売新聞 朝刊13面 2022年2月20日)
仲野徹 評「ここまで来ている脳とAIの関係『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』と『生命知能と人工知能 AI時代の脳の使い方』をあわせ読み」 (HONZ 2022年1月27日)
绍介记事 (本书序章を公开):
生命知能と人工知能 (1)「人工知能と苦手分野が一致!? “人工知能化”する若者たち」 (現代ビジネス 2022年1月12日)
生命知能と人工知能 (2)「人工知能が人間をダメにする? 人間と人工知能の“脳”を分析」 (現代ビジネス 2022年1月13日)
生命知能と人工知能 (3)「米国に倣ってきた日本が、決められない社会になったワケ」 (現代ビジネス 2022年1月14日)
自著解説 (Youtube):
生命知能と人工知能 础滨时代の脳の使い方?育て方 (高橋宏知)
着者ホームページ:
东京大学 大学院情报理工学研究科 知能机械情报学専攻 生命知能システム研究室