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『英知の書簡集』文書の表紙

书籍名

ドゥルーズ派の诞生 圣典『英知の书简集』の思想史的研究

着者名

菊地 達也

判型など

180ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2021年7月

ISBN コード

978-4-88708-470‐4

出版社

刀水书房

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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イスラム圏の思想文化からは、アラウィー派、ヤズィード教のように特定个人の神格化など独特な教义を持ちイスラム教の枠内に収まるかどうか判断しがたい宗教?宗派も生まれた。これらの宗教?宗派についてはキリスト教、古代グノーシス主义といったイスラム教以外の宗教や中东内の民间信仰の影响が强调されがちであった。そのような影响はゼロではないにしても、初期イスラム思想史において生まれた、コーランや预言者伝承に関する様々な解釈の中から、现代のイスラム教徒には「异端」「异教」にしか见えない宗教?宗派が派生したと理解することも可能である。7世纪初头のイスラム教诞生以降多种多様な思想が生まれたが、10世纪以降になるとスンナ派および主流シーア派の间で正统教义が确立し、それらと対立する思想や集団は否定?排除されるようになった。この过程において「异端」「异教」として排除された宗派、そしてかつてあった「异端」的イスラム解釈が排除の中で结晶化した集団がアラウィー派、そして本书が主题とするドゥルーズ派だったのである。これらの宗派は市井のイスラム教徒が考えるイスラム教の枠组みを超えているかもしれないが、その思想文化の一部ではある。初期イスラム思想にあった多様性の一つの现れであったとも言えよう。
 
本書が目指したのは、11世紀初頭という創成期におけるドゥルーズ派の思想を、シーア派思想史を踏まえて把握することである。ドゥルーズ派とは、当時のイスラム圏の西半分を支配するファーティマ朝を樹立したシーア派の一派、イスマーイール派から、同王朝の君主でありイマーム (宗教上の指導者) でもあるハーキム (996-1021年在位) が神であると宣言し分派した宗派である。現在の彼らはレバノン、シリア、イスラエルなどに居住し、ハーキムの神格化だけでなく輪廻思想といった特徴的な教義を保持する。本書はドゥルーズ派の聖典『英知の書簡集』の中で創始者ハムザ?イブン?アリー (没年不詳) に帰される書間をとりあげ、善悪二元论に基づく世界観、救世主思想、輪廻思想、信仰偽装 (タキーヤ) 论といったトピックについて彼らの母体となるイスマーイール派の思想と比較しながら分析した。『英知の書簡集』は21世紀になってはじめて本格的な学術的校訂がおこなわれたが、ハムザ書簡群に見られる思想の全体像を再構成しようという試みはいまだになされていない。本書の分析の結果明らかとなったのは、ハムザの思想はイスマーイール派思想の延長上に形成されているが、個人の神格化や善悪二元论などについて旧来のイスマーイール派思想が越えようとしなかった一線を明らかに踏み越えたこと、輪廻思想などドゥルーズ派の特徴的教義の一部はハムザの書簡には見出されずハムザの死後に形成されたこと、の二点であろう。
 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 菊地 達也 / 2022)

本の目次

序章
 滨 研究史
 滨滨 本书の目的

1章 极端派 (グラート)
 滨 极端派のとらえづらさ
 滨滨 极端派の定义
 滨滨滨 极端派における神格化と轮廻の教説
 滨痴 ムファッダル文献とヌサイル派
 痴 ヌサイル派世界创成论における神?人间?轮廻

2章 イスマーイール派神话の復活
 滨 融通无碍のイスマーイール派神话
 滨滨 転落者神话
 滨滨滨 キルマーニーの可能的知性
 滨痴 ハーミディーの霊的アダム神话

3章 二元论的世界観
 滨 ドゥルーズ派教宣组织と二元论
 滨滨 ハーキム?カルト
 滨滨滨 天上における悪の出现
 滨痴 地上における悪の顕现

4章 メシアニズム
 滨 ドゥルーズ派における终末と救世主
 滨滨 歴史的背景と资料
 滨滨滨 ドゥルーズ派终末论の成立:1021年以前
 滨痴 ドゥルーズ派终末论の変容;试练の时代
 痴 シーア派思想史におけるドゥルーズ派终末论

5章 轮廻思想と信仰偽装 (タキーヤ)
 I 輪廻思想と信仰偽装论の起源
 II ハムザ書簡とヌサイル派论駁書
 滨滨滨 轮廻思想
 IV タキーヤ论

参考文献/索引

関连情报

书评:
塩尻和子 評 (「アラブ調査室」 2021年9月号)

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