ヨーロッパ?デモクラシーの论点
现代のヨーロッパは、デモクラシーの危机や刷新が重なり合う、政治の実験室です。
近年、ポピュリスト政党の勢力拡大、ユーロ危機の経済的打撃、ブレグジット、そして新型コロナのパンデミックと、ヨーロッパのデモクラシーは、厳しい挑戦を受けてきました。中?東欧を中心に、野党の政治活動、学問?報道の自由が制限を受ける「民主主義の後退 (democratic backsliding)」現象も指摘されます。
他方で、ヨーロッパでは、デモクラシーを多様な形で改革しようとする動きも目立ちます。環境保護のデモなどさまざまな抗議活動に参加する若者の多さは、驚くほどです。危機打開を目指した専門家 (テクノクラート) による政権運営や、見方を変えればポピュリズムも、新しい政治手法の模索と言えるでしょう。
ヨーロッパのデモクラシーは、かつて日本の近代化において理想化されたような真似すべきモデルではありません。むしろ、世界规模で生じているデモクラシーの変貌を理解するための実験室として面白さを増しています。
本书は、主に学部生から修士课程の大学院生を対象として、现代ヨーロッパのデモクラシーの変貌を理解してもらうためのテキストとして出版されました。従来のヨーロッパ政治のテキストの多くが、国别に政治の仕组みを解説しているのに対して、国を横断したテーマ别に説明しているのが新しい点です。
前半の第1部は、ヨーロッパのデモクラシーの舞台で活動するアクターに注目しています。ヨーロッパでは、今なお政党が重要なプレイヤーです。しかし、政党名は国ごとにばらばらで比較は困難です。そこで、本書では、政党の主な種類別 (比較政治学的には「政党ファミリー (party family)」別) にまとめました。急進右翼政党、急進左翼政党と、左右のポピュリズム政党の浮上で注目される政党から始まり、保守主義と社民主義という戦後デモクラシーの「主流派政党 (mainstream party)」、そして政党政治の構造変化の背景にある政治的なクリーヴィッジ (cleavages) と、説明を進めています。
第2部では、现代ヨーロッパで注目を浴びている争点别に解説を行っています。パンデミックへの対応からも関心が高い行政组织?官僚制、时に政治介入して改革を促す司法制度?宪法裁判所に続いて、贰鲍など国境を越えた统合が进む环境下で际立つ挑戦となる争点として、ユーロ危机と银行同盟、ナショナリズムと地域主义?分离主义、社会的投资と福祉国家、移民?统合政策、贰鲍出入国管理を扱います。
さらに深い研究を求める院生などの方々向けに、序章やあとがきで、比较政治学研究の研究动向との関係や课题についても触れています。
本书はテキストとしての「分かりやすさ」を维持しながら、ヨーロッパ政治を比较政治学的に捉える补助线を提供することを目指しています。是非その面白さを味わってください。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 伊藤 武 / 2021)
本の目次
第滨部 ヨーロッパ政治におけるアクター
第1章 极右势力/急进右翼ポピュリズム
第2章 新しい左翼
第3章 ヨーロッパの保守主义势力
第4章 ヨーロッパの社会民主主义/労働势力
第5章 ヨーロッパ政治における「クリーヴィジ」
第滨滨部 ヨーロッパ政治における课题と政策
第6章 行政组织?官僚制
第7章 司法制度?宪法裁判所
第8章 ユーロ危机と银行同盟
第9章 ナショナリズムと地域主権?分离主义
第10章 社会的投资と福祉国家
第11章 移民?统合政策
第12章 贰鲍出入国管理
あとがき
人名索引
事项索引
関连情报
野中尚人 (学習院大学法学部教授) 評「ヨーロッパのデモクラシー 網谷龍介、伊藤武、成廣孝編 ~「EUプラスα」の現実から現代日本を考える」 (東洋経済ONLINE 2009年7月21日)
関连书籍:
網谷龍介、伊藤武、成廣孝 (編)『ヨーロッパのデモクラシー 改訂第2版』 (ナカニシヤ出版 2014年3月10日)
书评:
◆上半期読书アンケート◆ (『図书新闻』3119号 2013年07月13日)