100分诲别名着 デフォー『ペストの记忆』
イングランドの作家ダニエル?デフォーによるA Journal of the Plague Year (1722) は、『ロビンソン?クルーソー』とならぶ彼の代表作で、古くは『ペスト』(平井正穂訳、中公文庫) の訳題で知られていた。
題名を『ペストの記憶』として、私が同書の新訳を刊行したのは2017年 (本訳书については、叠颈产濒颈辞辫濒补锄补内の别ページを参照)。その数年后に、新型コロナウイルスという、ペストほど致命的ではないものの容易に収束しない新たな感染症が人类を袭うことなど、まだ谁も知らなかった。
2020年に入り、世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるいはじめると、ワクチンなど感染を抑える有効な手段をもたぬまま、人びとは见えざる恐怖にさらされることとなった。この时期の世の中を见ると、『ペストの记忆』を思い出さないわけにいかなかった。生活必需品の不足。外出时にソーシャル?ディスタンスを取る人びと。情报の不足が招いたデマの拡散や、あやしい薬の登场。贫しい人ほど感染の危険が高まるという非情さ。すべてデフォーが记録した现実と一致していた。
もちろん、老若男女関係なく速やかに命を奪うペストと、重症化しなければ恢復の可能性が高いコロナウイルスとを同一視することはできないし、17世紀と21世紀では、前提となる医学的な知識も異なる (ロンドンがペストに襲われた1665年には、まだペストが細菌によって引き起こされることさえ分かっていなかったし、ましてウイルスなどというものも未知の存在であった)。しかし、だからこそ、文明と医学の進歩にもかかわらず浮き彫りになる、パンデミック下に共通する人間のふるまいについて、安易な類似点の指摘ではなく、テクストの精読と批評に基づいて解明することは重要ではないかと思われた。
そんな折、NHKの長寿番組『100分诲别名着』のプロデューサーから、『ペストの記憶』を扱いたいとの連絡を受けた。目下進行しているパンデミックを意識した企画なので、(おそらく、古典的な名著を読み解く本番組にしては珍しく) かなり急いで準備を進めた。本書はこの番組のテキストとして編まれたものである。ただし、放送ではテキストのごく一部しか取り上げていないので、私としては、番組を見た人も見ていない人も、ぜひこちらのテキストを読んでいただければと思う。
本书は4回の放送に合わせ、4章に分かれている。『ペストの记忆』がコロナ祸の社会に投げかける问题点を明快に示すために、别々の视点から、かつ徐々に视野が広がるように并べたつもりである。第1章「パンデミックにどう向き合うか」は、突如として疫病の恐怖に袭われた个人が、どのように不安と付き合うべきかを取り上げ、第2章「生命か、生计か? 究极の选択」では、家庭や商店?公司を念头に、健康を重视するのか、家计や経営を重视するのかというジレンマに立たされた人びとの姿を扱い、第3章「管理社会惫蝉市民の自由」では、行政と市民との立场の违いからくるパンデミック下での対立を描出し、第4章「记録すること、记忆すること」では、いま进行する危机をいかに记録し、后世に伝えるべきかを考察した。
窜辞辞尘会议で、プロデューサーや编集者を前に语った内容をライターに书き起こしていただき、不明确な点を彻底的に改稿し、理解の参考になる注も多く付したことで、18世纪の英文学を読んだことがない人でもアクセスしやすいテクストができあがったと思う。あなたがこの文章を読んでいるいま、コロナ祸中か、まだ记忆の新しいころか、あるいは歴史上のできごととして落ち着いたころか、私には分からない。しかし、そのいずれの时期であっても、本书を読み、さらに原作の『ペストの记忆』を読むことで、得られるものはあるだろう。手にとっていただければ幸いである。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 准教授 武田 将明 / 2022)
本の目次
第1回 パンデミックにどう向き合うか?
第2回 生命か、生计か? 究极の选択
第3回 管理社会惫蝉市民の自由
第4回 记録すること、记忆すること
関连情报
武田 将明「コロナウイルス時代にデフォー『ペストの记忆』が教えてくれること – 「事実を求めるための感性」の磨き方」 (講談社ホームぺージ 2020年5月1日)
関连书籍:
ダニエル?デフォー[著] / 武田将明 [訳] 『ペストの記憶』 (研究社 刊 2017年9月25日)
着者出演:
NHK 100分诲别名着 デフォー『ペストの记忆』
パンデミックにどう向き合うか? (狈贬碍第1回 2020年9月7日放送)
生命か、生计か? 究极の选択 (狈贬碍第2回 2020年9月14日放送)
管理社会 VS 市民の自由 (NHK第3回 2020年9月21日放送)
记録すること、记忆すること (狈贬碍第4回 2020年9月28日放送)
动画讲义:
10mTV 武田 将明「コロナ禍で注目されているデフォーの『ペストの記憶』とは」
『ロビンソン?クルーソー』とは何か(7)『ペストの记忆』とデフォーの文学 (テンミニッツ罢痴)
関连记事:&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;
中島隆博 (東京大学东洋文化研究所教授) 「新しい社会的想像力のために」 (日本医師会COVID-19有識者会議 2020年6月11日)
书评:
雑感 “ペストの記憶” (京都产业保健総合支援センター メールマガジン 238号 2021年5月6日)
鸿巣友季子「コロナ祸で100万部ベストセラーが诞生!2020年に読むべき23册」 (现代ビジネス 2020年12月28日)
鴻巣友季子 (翻訳家、エッセイスト)「ロビンソン?クルーソーの作者による「ペストの記憶」 晦渋と思しき原文を現代の実感に置き換えた訳文もみごと」 (BookBang 2017年12月27日)
林 直樹 (尾道市立大学准教授) 評「都市ロンドンの生存闘争を鋭く浮かび上がらせた作品」 (週刊読書人 2017年12月8日)
书籍绍介:
感染症の厄介さをそのままに描く『ペストの記憶』 3つの優れた特徴 (NHK Text View 2020年10月16日)
ペストはどんな病気だったのか (NHK Text View 2020年10月16日)