しぶやぶし
私たち建筑の分野では、建筑物の美しさだけでなく、その建筑が社会にとっていかなる役目を持ちうるのか、という自己定义がとても重要になっています。そして、近年特に重要なのは、都市再生という视点です。コンクリートや鉄が一般的な建筑物にも使われるようになり建物が长寿命となったこと、戦后の復兴の过程で建设されたストックが、半世纪をすぎ、抜本的な改修が必要になったこと、郊外化が进む中で都心の役割を再定义する必要があること、などがその理由です。建筑物単体の価値だけでなく、周辺の环境の中で建筑がどのような贡献ができるのか、その方法论が试されているというわけです。
そうした背景の中、2002年には都市再生特别措置法が制定され、日本の都市再生の重要な地域として同法に基づく都市再生特别地区が指定されました。日本を代表する都市である渋谷もこの都市再生特别地区の1つで、渋谷駅を中心に様々なプロジェクトが企画され、建设が进んでいます。しかしながら、巨大なプロジェクトがいくつも駅周辺で进むことから、この工事の期间中、渋谷はいわば眠った状况になってしまいます。いくら立派なハードができても、その间に渋谷の都市文化が消えてしまっては意味がない、そう思った有志メンバーで、蝉丑颈产耻测补1000という活动を10年间行いました。都市を作るのは、建筑家だけでも、都市计画家だけでもできることではありません。この场所に通勤する人、暮らす人、一人ひとりの存在が都市を形成するのだと考えました。
この「しぶやぶし」には、この10年间で集めた様々な人々の言叶が詰まっています。一人ひとりの声は、もしかしたら教科书には载らない记録かもしれませんが、この本の言叶を见つめていると、21世纪初头の渋谷のまちがどのような空気感を持っていたのかがよくわかるはずです。建筑のこと、音楽のこと、暮らしのこと。様々な専门家が発する渋谷の言叶は、どれも多様で、短い言叶ながらどの言叶にも渋谷への深い洞察が込められています。各言叶が载っているページの1枚1枚は、ページのデザインが全て异なるという手の込んだデザインになっていて、そのデザインの违いが重なることによる书籍全体の热量もまた、渋谷のまちの活気のようでもあります。一人ひとりの渋谷の小さな声を集め、その书籍そのものがデザインになっている、という新しい渋谷の本がこの「しぶやぶし」です。
(紹介文執筆者: 生産技术研究所 准教授 川添 善行 / 2020)
関连情报
『しぶやぶし』出版记念イベント&迟颈尘别蝉;奥别奥辞谤办渋谷スクランブルスクエアオープニングウェルカムイベント (奥别奥辞谤办 2019年12月2日)
书籍绍介:
回転窓/东京?渋谷の底力を见たい (日刊建设工业新闻 2020年5月11日)
川添善行监修『しぶやぶし』発行 (建筑情报サイト『碍贰狈颁贬滨碍鲍』ブログ 2020年4月9日)