农村景観の资源化 中国村落共同体の动态的棚田保全戦略
農の多面的機能が重視され、農村景観の美しさに対する評価が高まる一方で、農村景観によって生計を立てられる農家は多く存在していない。市場経済のなかで、農業の衰退や農村の疲弊が存在するなかでも、農業を営む人々が農村景観を糧に生活を成り立たせることは可能か、という問いが本書の原点である。それを実現するためには、著書の題目でもある『农村景観の资源化』が必要であり、現地での調査から『农村景観の资源化』の考察を行った。また人間生活を含む生きたものを総括して保全していく「動態的保全」という概念に対して、3つの村の異なる動態的保全のあり方を示し、この概念に加筆を行った。
本书の调査地は、少数民族が棚田耕作を主とし、600年以上ほぼ完全に近い自给自足の生活を行ってきた中国広西壮族自治区龙脊棚田地域である、各村のリーダー?地域住民?地域への旅行者に対する闻き取り调査を中心に、现地调査を行ってきた。过去に様々な论文を执笔し、その集大成として本书を出版した。
社会や市场の変化、また、人々の価値観や需要の変化が生まれるなかで、资源とされるものも変化し、また资源を扱う共同体のあり方にも変化がみられる。本研究は、社会変化のなかで人々が农村景観を资源化してきた过程を示し、农村景観に対する人々の価値観や管理の方法、资源分配、そこに関わるアクターにどのような変化が生まれたか、またその过程のなかで、农村景観を动态的に保全することが可能であるか、それによっていかなる山间地农村の発展形态を模索することができるかという课题に取り组んだ。
农村景観を作り上げてきた背景には、伝统的な村落共同体の存在がある。本研究における村落共同体の范囲は、森林?水源?农地といった自然资源の管理?分配の単位と捉えられ、具体的には、地域内?村内の中に复数存在する伝统的な自然集落?住民グループが挙げられる。今日もこうした自然资源の管理?分配がみられるが、地域外部の农村景観に対する评価により、农村景観が旅行业资源として変化した今日、その新たな资源を取り巻く行动主体は多様化し、范囲も広がりをみせている。つまり、従来の伝统的な村落共同体を基础としたうえで、地方政府?旅行会社?学者?旅行者といった新たな行动主体が共同体构成员として加わり、さらに伝统的な村落共同体を基础とし、その范囲?构成员を広げた新たな村落共同体の考察を行った。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 特任准教授 菊池 真純 / 2019)
本の目次
第1章 農村景観の動態的保全に関する理論
はじめに
1 農村景観への着目
2 問題意識の所在
3 景観?農村景観?文化的農村景観
4 資源としての農村景観
5 コモンズ論を基にした資源分配
6 質的調査研究の手法
第2章 龍脊棚田地域の3つの村
はじめに
1 龍脊棚田地域の概要
2 平安村の概要
3 大寨村の概要
4 古壮寨の概要
5 寨老制という伝統的村内自治体制
6 龍脊棚田地域に現存の寨老
7 寨老制廃止の意味と今日に寨老制が残る背景
第3章 3つの村の棚田保全を支える特徴的要素
はじめに
1 棚田耕作へ出稼ぎに来る村外農民 (平安村)
2 平安村へ来る出稼ぎ棚田耕作者に関する調査
3 出稼ぎ棚田耕作者に関する今後の課題
4 伝統的村落共同体による森林管理 (大寨村)
5 現在の大寨村の森林資源管理
6 生態博物館制度による旅行教育 (古壮寨)
7 古壮寨への生態博物館指定
小括
第4章 住民?旅行者?政府の農村景観への眼差し
はじめに
1 地域住民への調査方法
2 地域住民への調査結果
3 国内外旅行者への調査方法
4 国内外旅行者への調査結果
5 龍脊棚田地域に対する需要 (旅行者の視点)
6 景観形成のための棚田耕作への移行 (住民の視点)
7 所得政策と結びつく棚田景観 (政府の視点)
第5章 農村景観資源の動態的保全戦略
はじめに
1 农村景観の资源化による保全
2 地域住民の兼業化の奨励
3 伝統を基礎とした新共同体の再構築
4 地域の強みへと転換した従来の弱点
5 結論
関连情报
林海 評 (『村落社会研究ジャーナル』第48号 2018年5月)