Commerce and Strangers in Adam Smith
本书籍は、経済学の大成者として知られるアダム?スミスが、グローバル化をどう捉えたかを考察するためのものである。
スミスは18世紀に生きた人物で、グローバル化の速度?規模とも今日とは異なっている。スミスの生きたスコットランドは、未だ農業中心の社会であって、しかも、产业革命の成果もまだ社会に波及している訳ではなかった。にもかかわらず、グローバル化の波は着実にヨーロッパにもスコットランドにも及んでいた。ヨーロッパの商業?海外貿易網は、ほぼ世界各地域を網羅していた。さまざまな物品が世界中とやりとりされた。貿易?宣教に伴って、非ヨーロッパ世界の情報を伝える旅行記も多数執筆され、スミスを含むヨーロッパの人々の強い影響を与えた。そのことが、スミスの道徳?政治?経済思想にどのような影響を与えたのかについては、これまであまり顧みられてこなかった。そこで、本書は、多様な一次文献?二次文献を駆使しつつ、スミスにおいて、どのようにグローバル化が捉えられたのかを解明した。スミスは、未だグローバル化が完全とは程遠い時代に生き、グローバル化されざる地域をもよく知っていたことが、かえって、多様な地域を比較する巨視的視野をスミスに与えることとなった。
具体的には、本书は、スミスの生きた时代、スミスの道徳、政治、経済の多岐にわたり、グローバル化をスミスがどう捉えたかに迫った。
まず、第2章では、スミスの生きた启蒙の时代に、世界各国との交流を启蒙思想家がどう捉えたのか、それにスミスはどう影响されたのかを论じた。
第3章と第4章では、それぞれ、スミスの道徳と政治思想を扱った。异邦人という视野はスミスにとって人间関係を捉える上で根源的なものであった。また、それに基づきつつ、具体的な人间関係の场である政治の空间において、スミスが世界との交流をどう捉えたのかを论じた。第3章では、スミス道徳思想を蝉迟谤补苍驳别谤蝉というタームを轴に见ることで、公平な観察者の论理的根拠を考察した。第4章では、スミスの政治思想が、歴史を通じた制度の进化という発想に基础付けられていることを示した。
続く、第5章から8章までは、スミスの経済思想を论じた。世界各国との交流の视点は、スミスの経済论に大きな影响を与えたことを论じた。第5章では、経済行动の规则性をスミスがどう捉えたかを示した。第6章では、货币、第7章では、市场、第8章では、国际贸易を取り上げた。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 准教授 野原 慎司 / 2019)
本の目次
Chap. II Travel literature and the Enlightenment world
Chap. III Fellows and strangers in The Theory of Moral Sentiments
Chap. IV Adam Smith's Historical Politics
Chap. V Adam Smith on regularity and irregularity in sentiments: morality and prudence
Chap. VI Adam Smith on money and the impact of encountering strangers
Chap. VII Adam Smith on markets
Chap. VIII Encountering the world: the model of international Trade
Conclusion