东北地方「开発」の系谱 近代の产业振興政策から東日本大震災まで
2011年の東日本大震災は、東北地方が、首都圏に対する資源 (電力?食料など) や労働力の供給地としての役割を果たしてきたことを改めて浮き彫りにした。東北地方のこの役割は、歴史的に形成されてきたものである。日本資本主義の原始的蓄積期を通じて、東北地方は農業地帯へと再編され、都市部?工業地帯に対する食料や労働力の供給源という位置づけが与えられたのである。そして、工業化が進行する過程で農業の交易条件が不利化するとともに、東北の地域経済は相対的に停滞を経験する。その後、原蓄期における歴史過程は忘却され、東北地方=後進地域という表象のみが定着する。この表象は、東北地方の人々の自己認識をも規定していった。
东北地方=后进地域という表象が前提となって、东北地方は経済开発政策の対象地域として设定されていく。19世纪末には「东北振兴」が中央政府?财界のスローガンとして登场し、第二次大戦后には「东北开発」という政策课题として引き継がれていくことになる。「东北振兴」「东北开発」においては电力などの资源开発や工场诱致が企図されていく。「开発」は、东北地方と中央(首都圏)との関係性を际立たせる特徴的なキーワードとなってきたといえる。本书が、东北地方「开発」の歴史に着目した所以である。
ところで、東日本大震災は、世界的規模で製造業の生産工程に影響を及ぼした。被災地域の製造業が、グローバルなサプライ?チェーンにおける生産拠点として不可欠な役割を果たしていたことが広く認知されるようになった。そして、農水产业や地場製造業の復旧が遅滞するのを尻目に、これら生産拠点は急速に復旧して、グローバルなサプライ?チェーンを短期間のうちに正常化させていった。
震災を機に露出された東北経済現況の特質を踏まえて、本書においては、東北地方の「開発」の歴史を、首都圏 (中央) との関係性にくわえて、国際的な契機にも焦点を合わせて捉えることを試みている。国際的な契機に関しては、とくに、近隣東アジアとの関係に着目した。戦前戦中において東北地方は、兵站基地 (軍馬?兵力?農業移民の供給地) として日本帝国主義の東アジア侵略を支える役割を果たした。戦後においては、首都圏への資源(電力)や労働力の供給地として、また、低賃金を求めて進出する企業の受入地としての役割を担った。この過程で、高度成長期以降の東北地方は、東アジア (日本、台湾?韓国、そして少し遅れて中国が参入) 規模で構築されていった製造業の国際分業体制における不可欠な一環として-台湾?韓国や中国への立地との競合という局面をも含みつつ-組み込まれて、日本資本主義の資本蓄積を支えたのである。
本書は、2013年度政治経済学?経済史学会春期総合研究会 (テーマ: 东北地方「开発」の系谱-国際的契機に着目して) における報告と討論をもとに編集したものである。
(紹介文執筆者: 农学生命科学研究科?农学部 教授 松本 武祝 / 2019)
本の目次
序章 东北地方「开発」の系谱-国際的契機に着目して 松本武祝
第1章 军马资源开発と东北马产-军需主导の东北「开発」と1930年代の构造强化 大瀧真俊
第2章 人口问题と东北-戦前期から戦后における东北「开発」との関连で 川内淳史
第3章 高度成长期における东北地方の电源?製造业立地政策 山川充夫
第4章 ネットワークの視点で見る東北地域の产业構造の発展と政策 坂田一郎
第5章 釜石地域における「开発」と希望の再生-希望学?釜石调査を中心に 中村尚史
第6章 东北地方経済史の新视点 白木沢旭児
第7章 いわき市小名浜アクアマリンパークの地域振興-大震災?原発事故とその後 小島 彰
第8章 低赁金労働力供给基地としての东北の农业?农村 安藤光义
第9章 东北开発と原発事故をめぐって 岩本由辉
補章 政治経済学?経済史学会2013年度春期総合研究会報告 上田展大?棚井 仁
あとがき 小野塚知二