ドイツの政治
第2次世界大戦后の欧州大陆を相対立する东西の両阵営に分けた冷戦が1980年代末に终焉を迎えたとき、ドイツにおいても二つの分断国家の统一という歴史的大事业が成し遂げられた。しかし、谁一人として予测しえなかった早期の国家统一は、统一そのものに劣らず重い课题をその后に残した。西ドイツで筑かれた福祉国家の制度が大量の失业者を救済するために投入され、东に成立した新州への支援が政府间の财政移転の仕组みを通じて継続された结果、公的债务が急増することになったのである。
政党を初めとするさまざまな政治的アクターは、东部再建の课题にどのようにして取り组んできたのか。西ドイツの时代にさかのぼる、ドイツ连邦共和国を构成するさまざまな制度的枠组みは、これらのアクターによってどのように活用されてきたのか。また、东部再建によって膨张した债务から圧迫されて不可避となった社会保険制度や连邦制度の改革はどのようにして进められてきたのか。本书は、ドイツ内外の政治研究を幅広く渉猟し、その成果を踏まえつつ、今日に至る统一ドイツの歩みをその政治构造に内在するメカニズムに即して明らかにしようとするものである。
(西) ドイツでは、分権的な国家とよく組織された社会が政党を初めとするさまざまな政治的アクターによって媒介され、これらの間の調整を通じて政策の対応がゆっくりとではあるが着実に進められることを強調したのは、アメリカの政治学者P?カッツェンシュタイン (Peter J. Katzenstein) である。たとえ連邦首相であっても、多元的な政治主体との間で調整を行うことなしには政策を変更しえないゆえにドイツは「半主権国家」と呼ばざるをえないが、「漸進的な」政策の変更が結果としてかえって政治的安定をもたらす、と主張したのである。
このような洞察がドイツ政治研究者の间で広く共有される一方、个别の政治的アクターや政策领域についても豊かな研究成果が蓄积されてきたが、本书の最大の特徴は、特定のアクターや政策の动向に関心を限定することなく、统一后に変容を重ねてきた、「半主権国家」の全体像を描こうとする点にあると考えている。
国内ではポピュリスト政党がついに连邦议会に进出を果たし、対外的にも未曽有の危机の中で停滞する贰鲍の主柱であり続けなければならない「半主権国家」の将来は、まさに予断を许さない。しかし、ドイツの行方を考察する上では、本书が明らかにした「半主権国家」の政治构造とそのメカニズムが有益な判断材料を提供するであろう。
(紹介文執筆者: 社会科学研究所 教授 平島 健司 / 2017)
本の目次
第1章 「半主権国家」の形成―占領と連邦共和国の成立
第2章 「半主権国家」の国家
第3章 政党と政党システム
第4章 「半主権国家」とコーポラティズム
第5章 「半主権国家」と国家統一
第6章 社会国家の変容
第7章 東部建設の継続と連邦制改革
第8章 移民?難民政策
终章