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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

白い表紙にピクセル状のグレーのマップ

书籍名

人工社会の可能性 04 领域统治の统合と分裂 北东アフリカ诸国を事例とするマルチエージェント?シミュレーション分析

着者名

判型など

256ページ、础5判、上製

言语

日本语

発行年月日

2011年3月15日

ISBN コード

978-4-90-470125-6

出版社

书籍工房早山

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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世界は、200ほどの主権国家で分割されている。同じように「国家」と呼ばれていても、その内実は極めて多様だ。領域と領民が一つにまとまっている「まっとうな」国家が存在する一方、そうではない国も珍しくない。内戦に見舞われて政府と反政府組織との間で国土が二分三分している国はその典型であろう。極端な場合には、国土が四分五裂する中、中央政府と呼べるような統治組織が消えてなくなってしまう事例すら存在する。冷戦後の国際関係論では、国家内での武力紛争の問題と関連して、こうした主権国家の実態面での多様性に関心が集まってきた。様々な「まっとうでない」国家を議論するために提起された、「擬似国家 (quasi-state)」「脆弱国家 (fragile state)」「破綻国家 (failed state)」「崩壊国家 (collapsed state)」といった概念の氾濫が、こうした関心を物語っている。
 
この本は、アフリカ大陸の北東部の国々 (エチオピア、ケニア、ソマリア、スーダンなど) を事例に、国家の領域的なまとまりに見られる、こうした多様性を分析した研究をまとめたものである。これらのアフリカ諸国は、歴史的に、統合から分裂まで様々な領域統治の動態を示してきた。この研究がこだわったのは、こうした国家の領域統治のあり方を、「破綻国家」「崩壊国家」といったラベルで静態的に捉え分類するだけではなく、その動態までを含めて明示的に表現し分析しようとした点だ。そのために、研究では、(当時としては) かなり変わったアプローチを採用した。それは、マルチエージェント?シミュレーション (MAS) や地理情報システム (GIS) など、計算機を駆使した先端的な技法を組み合わせたものである。具体的には、まず、人口分布や民族言语分布など、各国の空間データを集めたGISデータベースを構築し、そのデータを使って、一定の領域と領民を備えた仮想的な国家を構成した。そしてその仮想国家の中で、政府や反政府組織といった組織の間の軍事的?政治的な競合を形式化したシミュレーション?モデルを走らせ、この国家の領域的なまとまりにいかなる変化が生じるかを観察した。つまり、空間的な構成等の点で、現実の国に似通ったバーチャルな国家を (相当単純化された形で) コンピュータの中に作り、そこに紛争のダイナミズムを導入して、いかなる統合と分裂の動態が生まれるのかを、実験的に探っていったわけである。
 
実際にシミュレーション?モデルを動かすと、多くの仮想国家において、現実の国家のものと相当似通った統合と分裂の動態が観察された。たとえば「仮想スーダン」なら現実のスーダンと同様に南北分裂が起き、「仮想ソマリア」では、やはり現実のソマリアと同様に国がバラバラになる、といった具合である。これがこの研究の主要な結果の一つである。正直に白状すると、当時は、現実に観察される紛争や領域統治のパターンをこうしてコンピュータの中で「再現」することに夢中で、その先のこと (結果の厳密な解析や妥当化など) をあまり真面目に考えていなかった。結果を出した後、学術的な研究としてそれをどのようにまとめていったのか、その苦労や限界も本書には刻まれている。
 
最後に、苦労や限界だけではなく、本書では、学術的な研究の新たな実践につながるアイデアが示されている点も強調しておく。本書の後半では、統治機構の分権化や中央政府の再編成など、仮想国家における統治のあり方の変革が、当該国の平和と統一の蓋然性を高めるか否かを検証するシミュレーションを行っている。これは、学術的なモデルに依拠した一種の「政策実験」にほかならない。仮想国家でのこうした政策実験の可能性については、同じ出版社の同じシリーズで刊行されている、山影編『アナーキーな社会の混沌と秩序』(2014年) に、もう少しまとまった内容を書いているので、そちらも是非読んでいただきたい。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 准教授 阪本 拓人 / 2017)

本の目次

1. 序論
2. 仮想国家のモデル
3. 現実国家の動態とデータ
4. 仮想国家の動態と現実国家との比較
5. 仮想国家の分析と現実国家の理解
6. 仮想国家の拡張と現実国家への接
7. 結論

関连情报

武内進一氏による書評 (『アフリカ研究』):

 

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