ものづくり改善入门
この本は、藤本が2001年に出版した「生産マネジメント入門」(日本経済新聞社) のいわばダイジェスト版として「藤本監修」で作られた本である。そこで、元の本の中身を説明した上で、その後、なぜその短縮版が必要になったのかを説明する。
「生産マネジメント入門」は、藤本が東京大学経済学部で二十数年教えている「経営管理」「生産システム」(途中で名称変更) の教科書として書かれたものである。授業で言えば50時間近くに対応するので、全2巻、合計約750ページの分厚い本だ。中身は、技术管理?生産管理を「生産資源の間を流れる設計情報 (付加価値) の流れの良さ」を追求する「広義のものづくり」論の観点から一貫して説明している。こうした「流れ」発想重視の教科書は、世界的に見てもあまりなく、現在、中国語版、英語版の出版準備が進んでいる。
日本では、生産管理は主に工学系の科目であり、そのコアはフレデリック?テイラー以来のインダストリアルエンジニアリング (IE) あるいはオペレーションズリサーチ (OR) である。これらは細目に分かれて発達し、精緻なモデル分析が行われている。ハーバード大の技术生産管理 (TOM) 出身の藤本も米国の生産管理論 (Production and Operations Management) の教科書で勉強してきた者であり、細部における動作研究、在庫分析、検査設計等の概略の説明は藤本の教科書にも織り込んでいる。
しかし、「生産マネジメント」の特徴は、これらを「競争力とその改善」という観点からトータルシステムとして論じるということである。すなわち、まず概論と歴史分析を行った上で、設計情報の転写である生産の現場の「設計情報の流れの良さ」を示す生産性とコスト (C)、生産リードタイム (T) と纳期、製造品質 (Q) と顧客満足、変化に対するフレキシビリティ (F) の4つ、つまりQCTFについて、その概念、測定、管理、改善について説明する。次に、「生産資源の維持と改善」に関して、現場の人的資源管理 (Man / Woman)、設備管理 (Machine)、および購買管理 (Material) のいわゆる3Mについて、それらの構築?維持?改善のサイクルを論じる。最後に、設計情報自体の創造過程である製品開発について、総論、開発期間 (Time)、開発生産性?開発コスト (Cost)、設計品質?商品力 (Quality)、つまり開発のQCTの管理と改善を論じる。
さて、2005年以降、東大ものづくり経営研究センターでは、現場改善の先生を育成する師範学校である「ものづくりインストラクタースクール」を開設し、現在は十数カ所の自治体の地域スクール開設?運営の手伝いもしている。さらに、一般社団法人「ものづくり改善ネットワーク (MKN)」を設立し、地域スクール間のネットワーク作りや指導者養成を行っている。これらの多くは「生産マネジメント入門」を教材として使っているが、750ページはしんどいという声もあるので、MKNの福田隆二事務局長や横井編集者を中心に縮約版を作った。それがこの「ものづくり改善入门」である。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 教授 藤本 隆宏 / 2019)
本の目次
- ものづくりの基础概念
- 「ものづくり」とは何か?
- 「ものづくり」とは设计情报の転写である
- 改善活动は良い流れづくり
- 现场を见る视点
- ものづくり改善インストラクターをめざす方へ
- ものづくりの竞争力
- 「竞争」とは
- 公司?现场のあるべき姿の指标化
- 表の竞争力と里の竞争力
- ものづくり组织能力の构筑
- プロセス分析
- 生产プロセスの记述
- 工程流れ図
- ボトルネックを见つける
- ものと情报の流れ図
- 时间轴に沿ったプロセス记述
- パフォーマンスの测定
- コストと生产性
- 原価管理と原価企画
- 生产性の概念とその测定
- インダストリアルエンジニアリング (IE) の諸手法
- 管理と改善
- ものづくり现场におけるコストダウンの方向性
- 兆候のリスト
- 纳期と工程?在库管理
- 纳期
- 工程管理
- 在库管理
- 工程改善策
- 品质管理
- 品质の概念
- 品质の测定
- 品质不良の概念
- 品质のコスト
- 品质管理
- 検査の方法
- TQC-TQM
- フレキシビリティ
- フレキシビリティの概念
- 部品のフレキシビリティ
- 工程のフレキシビリティ (工程の汎用化)
- フレキシビリティの全体最適化, アーキテクチャおよび位置取り戦略
関连情报
ものづくり改善入门 (一般社団法人 ものづくり改善ネットワーク)
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