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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

白と藍色の表紙

书籍名

Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies <原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』 『イスラーム世界研究』Vol.2 No.2 (2009.03) ~Vol.11 (2018.03) 連載

着者名

ペルシア語百科全書研究会 (訳注)

言语

日本语

発行年月日

2009年3月

ISSN コード

1881-8323

出版社

京都大学大学院アジア?アフリカ地域研究研究科附属 イスラーム地域研究センター (KIAS)

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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本研究は、12世紀末のセルジューク朝治下で著された、ペルシア語の百科全書的博物誌『被造物の驚異と万物の珍奇』(ムハンマド?トゥースィー著) の日本语訳注である。イスラーム世界では、アラビア語やペルシア語であまたの書物が編まれたが、わずかなものを除き、いまだ翻訳もなく、研究もされずに眠っていることが多い。本書もまた、その中身の重要性にもかかわらず、専論はなく、英訳すらなされていない。
 
『被造物の驚異と万物の珍奇』は、「世界万物の驚異」を集めた書であり、天文学、医学、本草学、動物学といった自然科学から、地理や歴史、神話、伝承を幅広く収めている。序章と全10部からなり、天体や天使?聖霊、火、空気、水、大地の四元素、世界各地の山海河川と諸都市、鉱物、樹木?香草、彫像?墓?財宝などの遺物や遺跡、知性?霊魂?五感?夢など人間にまつわるもの、女性や去勢者や巨人、医学や錬金術、人間でも天使でもない妖魔?悪鬼のジンやシャイターン、そして鳥や大小の動物、昆虫について述べられる。これらはすべて神の創造した「被造物」であり、「天の玉座」など天にあるものから地上のものへと体系立てて説明され、最も小さくて卑しい「蚊」で締めくくられる (原書には挿絵もふんだんに盛り込まれている)。
 
本书の着者トゥースィーが活跃した12世纪は、シーア派や异端や神秘主义が跋扈するなかにあって、スンナ派イスラームの理论上かつ教义上の真の确立期ともいうべき时代であった。「言叶」や「书物」の有用性を説く着者の执笔意図は、読者が旅に出ることなく、家にいながらにして、「目にしたことがないものを见」て「世界の惊异や当代の珍奇のあらゆる情报を获得」し、世界万物?森罗万象について「知る」ことであった。これによって読者は、万物の创造主たる神の「御业」について思いをめぐらすことが可能となるのである。
 
本书から読み取れる12世纪の西アジア社会の学术的到达点は、万物の创造者であり破壊者である神の存在の强调であり、その创造主によってつくられた多种多様な被造物がこの世界には溢れている、ということに尽きる。『被造物の惊异』は、天上から地上のありとあらゆることを网罗した、当时の知的営為の集大成とも言うべき书物なのである。
 
日本语訳にあたっては、原書のもつ「妙味」を損なうことなく、また、読者の理解を助けるべく、本書の典拠となった書物や同時代または後世の情報を注釈として組み込むなどの工夫を凝らした。本書からは、12世紀の西アジアに生きた一知識人のイスラーム的宇宙観や世界観を知ることができるだけではなく、人文科学と自然科学が未分離であった時代の学問を理解し、現代の日本社会とはまったく異なる次元から「知とは何か」ということを問い直す契機ともなろう。本書を通じて当時の息吹を感じることは、驚きに満ちた世界へのあくなき知的探究の第一歩でもある。
 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 准教授 守川 知子 / 2017)

本の目次

解题
序章
第1部 高き诸天とそこに属するものの惊异について
  第1章 北天?南天とそれらの星座について
  第2章 天界と諸天の驚異について
  第3章 太陽の驚異とその諸性質について
  第4章 この世界での月の効用とその性質について
  第5章 星々とそれらの創造のすばらしさについて
  第6章 諸宮について、至高なるアッラーはどのようにしてそれらを創造されたのか
第2部 天と地の间で生じる惊异について
  第1章 火の驚異について
  第2章 空気の驚異について
第3部 大地と水と海の惊异について
  第1章 水の驚異について
  第2章 海の驚異について――アルファベットの順に従って
  第3章 川と小川の驚異について
  第4章 大地の驚異とその性質について
  第5章 山々の驚異とその性質について
  第6章 石と鉱物の驚異について
  第7章 石碑とその他の岩について
第4部 町やモスクや圣堂などについて
  第1章 モスクについて
  第2章 有名な聖堂とその驚異について
  第3章 諸都市や諸地域について――アルファベット順に配列される
  第4章 逆転した地方と、転覆され埋められた土地について
  第5章 さまざまな時代に生じた疫病や死病について
  第6章 降礫、降石、埋没について
第5部 树木、果実、香草について――アルファベット顺に配列される
  第1章 樹木、果実、香草の驚異
  第2章 珍しい未知の木々の驚異について
第6部 彫像や図像の惊异について
  第1章 預言者たち――彼らに平安あれ――の像
  第2章 珍しい像について
  第3章 不信心者たちの像について
  第4章 墓とその驚異について
  第5章 もろもろの財宝について
第7部 人间のすばらしさとその性质の惊异について
  第1章 人間の知性と霊魂について
  第2章 人間の諸器官について
  第3章 女と去勢された者について
  第4章 様々な階層の人間とそれぞれの気質や姿について
  第5章 人間とその位階について
  第6章 錬金術について――錬金術とは霊的技法である
  第7章 医学と治療の知識について
  第8章 夢とその際の霊魂の状況について
  第9章 死と、肉体からの霊魂の分離について
第8部 ジンや魔物の惊异について
  第1章 ジンやディーヴについて
  第2章 ナスナースについて
  第3章 グール各様
  第4章 イブリースやイフリートたちよりも幽質であるジンについて
第9部 鸟の惊异について
  第1章 大型の猛禽について
  第2章 種子や虫を食べる鳥について
  第3章 世界各地の珍奇な鳥について
  第4章 不吉で小型の猛禽や小さな鳥について
第10部 动物の惊异について 
  第1章 野獣や大型の動物について
  第2章 小型の動物について
  第3章 海の動物について
  第4章 毒蛇と竜と蛇について
  第5章 毒と毒をもつ動物について
  第6章 昆虫について
 

関连情报

<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(1)
イスラーム世界研究 第2巻2号 (2009 年3月) 198-218 頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(2)
イスラーム世界研究 第 3 巻 1 号 (2009 年 7 月) 403–441 頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(3)
イスラーム世界研究 第 3 巻 2 号 (2010 年 3 月) 378–391 頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(4)
イスラーム世界研究 第4巻1–2号 (2011年3月) 483–550頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(5)
イスラーム世界研究 第5巻1?2号 (2012年2月) 365?494頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(6)
イスラーム世界研究 第6巻 (2013年3月) 549?570頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(7)
イスラーム世界研究 第7巻 (2014年3月) 499?532頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(8)
イスラーム世界研究 第8巻 (2015年3月) 266?358頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(9)
イスラーム世界研究 第9巻 (2016年3月) 315?339頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(10)
イスラーム世界研究 第10巻 (2017年3月) 275?302頁

 
<原典翻訳> ムハンマド?ブン?マフムード?トゥースィー着『被造物の惊异と万物の珍奇』(11)
イスラーム世界研究 第11巻 (2018年3月) 322?386頁

 

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