统治の条件 民主党に见る政権运営と党内统治
本書は民主党政権 (2009~2012年) の3年4ヶ月を政党組織に着目して分析したものです。民主党政権の誕生は1980年代以降の政治改革の延長線上に位置づけることができますが、政治改革が目指したのは、政権交代可能な二大政党制の構築、政党?政策中心の選挙、そして政党中心の政権運営でした。政治家の行動を変えるために、1996年から従来の中選挙区制を廃し、小選挙区比例代表並立制が導入されました。選挙制度改革は、政党組織の一体性を高めることで、有権者が衆議院選挙で政党-首相候補 - マニフェスト (政策) をセットとして選択できる体制の構築を志向したのです。また、2001年には中央省庁が再編されると同時に内閣府が設置され、首相による政策決定を支える組織が強化されました。そのことにより、首相官邸が強いリーダーシップを発揮し、省庁の縦割りや既得権益を打破する政策革新が可能になると考えられていました。2009年の政権交代選挙により登場した民主党政権は、その意味では、選挙制度改革と中央省庁再編という二つの政治改革の申し子だったのです。
しかしながら、実际の民主党政権は惨憺たるものであったと言わざるを得ません。それで政権交代に絶望するのは个人の自由ですが、本书では、何故、民主党の政権运営が惨憺たるものになってしまったのかを既存研究の彻底的な整理と、新たなデータの収集と分析から明らかにしようとしています。実际に政権交代が起きる前の政治学者やジャーナリストの议论では、选挙制度改革と内阁机能强化が直接的に政党执行部の権限强化を生み出し、内阁と与党とが一体化することを暗黙のうちに想定していました。如何にして政党としての意见集约が可能であり、かつ、それが政府?行政机构へと接合され得るのかということに関して、十分な検讨が行われていなかったのです。
この書籍では、第1章で先行研究の整理と理論的検討を行った後、第2章から第7章で党組織の問題を扱います。具体的には、民主党政権における政府人事と代表選挙、マニフェストの作成手続き、政策調査会、さらには地方組織の事例研究を通じて、民主党政権を支えた (支えることができなかった) 与党内の政治力学を精緻に分析しています。これらの党組織の分析を通じて、民主党は党内で共通了解を得る制度?手続きが未整備なまま政権運営を行い、そして制度の修正自体が党内対立を惹起する悪循環に陥っていたことを指摘します。第8章ではその帰結としての民主党分裂の過程、第9章では世論調査に見る有権者の評価を検討しています。最終章では、単なる「民主党の失敗」という議論を超えて、今後の日本の政治、とりわけ政権交代のある政党政治を考える上で、民主党政権の教訓を考察しています。著者たちは、日本政治の未来を考える方々が、この本を手にとって下さることを願っています。
(紹介文執筆者: 情報学環 教授 前田 幸男 / 2017)
本の目次
第2章 民主党政権下の政府人事 -- 政治主導と人事 ………濱本真輔
第3章 民主党政権期における代表選挙 ………上神貴佳
第4章 民主党政権における政策形成とマニフェスト ………上神貴佳?堤 英敬
第5章 民主党政策調査会の研究 ………濱本真輔
第6章 党?労组?地方议员による叁位一体型集票?陈情システム
-- 民主党三重県連を中心に ………森 正
第7章 「保守王国」の民主党地方组织と政権交代
-- 宮崎県の場合 ………堤 英敬?森 道哉
第8章 民主党政権における立法と议员行动
-- 造反?離党の研究 ………前田幸男?森 正
第9章 民主党政権に対する有権者の评価
-- 月次世論調査データの分析 ………前田幸男
第10章 政党组织と政権交代
-- 民主党政権の「失敗」論を超えて ………堤 英敬?森 道哉
関连情报
日本選挙学会「選挙研究」第31巻2号 (2016年02月02日)
レヴァイアサン 59号 (2016 秋)
書評ではないが、ブロック紙に掲載される「社会時評」において情報学環の吉見俊哉教授が本書の内容について詳しく言及している。(東京新聞夕刊 2016年4月19日)