シリーズ日本の政治 1 议院内阁制
本書は、現代日本の议院内阁制の政治制度を比較政治学的に各国と比較して相対化することにより、日本の议院内阁制の作動が、他のシステムとは異なることを明らかにする。同じ议院内阁制でありながら、イギリスやドイツの首相たちが総選挙後に議会議員任期まで政権担当することを展望しているのに対して、日本の首相は4年後の任期までの展望を持たないし、持つこともできていない。そして、日本の首相は次の総選挙を待たずに退陣することがきわめて多い。
现実の政治の展开をいわば后追いして説明し、あまり疑问を差し挟まないマス?メディアの报道や、特定の政治的立场から政治现象を捉えて论评を加える政治评论は、日本の首相たちが、それぞれ特有の政治状况において政権运営に失败したために、次々と交代せざるを得なかったと説明するが、本书は、それでは、日本の政治过程を适切に捉えることができていないことを批判する。そして、现代政治学の理论と実証にもとづく研究成果が现実の政治の改善に贡献できることを主张する。
日本の首相が长期の展望を持てない主な理由はいくつかある。第1に、首相は解散権を自由に行使できるため、4年间の任期満了まで解散せずに政権担当することを当然とは考えていない。第2に、自民党,民主党など主要政党の党首の任期は3年であり,党首选挙で败れると首相も辞任する。また、党首が任期満了前に辞任した场合には、后任者の任期は残任期间となるので、党首选が频繁になる。第3に、3年ごとの参议院选挙で与党の选挙结果が悪いと首相の责任が问われる。第4に、政治家やマス?メディアや政治评论家たちが、比较的短期间の政局の変化を期待しており、毎月実施される内阁支持率の动向や国会运営や、地方选挙の结果、景気状况などすべてを、首相の政治的责任と结びつけて议论しがちであることである。こうして、日本政治における常识は、首相と内阁の任期が众议院の任期よりも短いということである。
本書は、日本の议院内阁制のさまざまな側面について、政治制度とアクターの相互作用に着目した比較政治学的分析を行っている。日本国憲法に規定された議会と内閣の信任関係、衆議院の解散の制度と運用、二院制議会における立法、国会における与野党関係、内閣と行政官僚制の委任責任関係などについて、単に制度の規定にとどまらず、制度ルールがアクターの行動選択肢を制約するコンテクストの中で、自分の効用最大化をめざすアクター同士の相互作用によって、特徴的な政治的帰結をもたらすことを示し、これまで明らかにされていなかった日本の议院内阁制の特徴と動作のあり方を解明している。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 川人 貞史 / 2016)
本の目次
1 各国で異なる议院内阁制の作動の理由
2 本书の构成
第1章 议院内阁制の政治制度
1 议院内阁制の起源と発展――イギリス
2 议院内阁制の特質
3 委任と责任の连锁
4 日本の内阁制度
第2章 议会と内阁
1 内阁の存立と议会
2 信任関係
3 解散
4 立法と2院制
第3章 政党と内阁
1 议院内阁制における政権と政権合意
2 议院内阁制における与野党の対立と協調
第4章 首相?内阁?大臣
1 首相と内阁
2 官邸?内阁官房?内阁府と阁僚
3 首相动静に见る政権中枢
第5章 内阁と行政官僚制
1 行政国家と官僚制への委任
2 官僚制の政治的コントロール
終 章 议院内阁制と日本政治
参考文献 / あとがき / 索引
関连情报
シリーズ著者 川人 貞史 編
书评:
Gregory W. NOBLE 評「Toward a Responsive Two-Party System? - A Review of ‘Series: Japanese Politics’ Gi’in Naikakusei (Parliamentary Government)」 (『Social Science Japan Journal』Vol. 19, No. 1, pp 85–97 2016年)
藤村直史 評 (『選挙研究』第31巻第2号p.157-159 2016年1月14日)
书籍绍介:
蒔田 純『子どもの誤解を招く?教科書における议院内阁制と三権分立』 (『アゴラ』 2018年8月11日)