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【Campus Voice】「女子中高生のみなさん 最先端の工学研究に触れてみよう2022」イベントレポート

1.米村美纪先生「人间と环境を工学で解く」

米村先生は现在、社会基盘?地盘工学の助教をしています。中学?高校时代の好きな教科が理科だったことから、理系を志すようになったといいます。元々音に関わる研究がしたいと思っていたため建筑と音の関係に兴味を持ち、理科一类から工学部建筑学科に进学し、建筑环境工学を専攻としたそうです。

米村先生の研究テーマについて

建筑环境工学は、建筑空间を构成する环境の要素と、その制御の方法を考える分野です。建筑环境工学における「环境」とは、森林や海などの自然环境だけではなく、光?空気?音など私たちが相互に関係しあって直接?间接的に影响を与える外界を指します。
米村先生は身の回りの建筑环境工学の例として、换気システムによる热?空気の制御、ユニバーサルデザインの路线図による视覚情报の计画、拡声放送、例えば駅アナウンスが建物の构造によってどう変化するかといった音环境の制御などがある、といいます。米村先生は建筑环境工学の中でも、最后に绍介した建筑音响を研究テーマとしています。

建筑音响とは?

音は波として空気中を伝わりますが、音源から観测者に直接伝わる「直接音」と、音源から出た音が建物の壁面などに反射して観测者に伝わる「反射音」の2种类に分けられます。建筑音响は反射音の制御を目标としています。例えば、コンサートホールでは残响を残してほしい、駅では騒音の反响を抑えたいなど、建筑音响の技术が进歩することでさまざまなニーズに応じた建筑が可能となるのです。

研究事例~駅の音环境の制御

ここで米村先生が行った建筑音响の研究について绍介します。东京大学?鉄道会社?建设会社との共同で、駅の騒音问题について取り组んだ実験です。この研究は、まず駅で騒音を测定する「実测调査」、次に东大の研究室で天井の材料を変えながら騒音を一番吸収する材质を探る「実大実験」、最后に被験者に騒音の闻こえ方を调査してもらう「聴感评価実験」、という流れに沿って进みました。米村先生の研究では音量など机材で测定される「物理データ」だけでなく、実験参加者の脉拍の変化など身体の変化を测定する「生理データ」、実験参加者に音を数値で评価してもらう「心理データ」も扱っています。「心理データ」については、参加者の聴感覚がしっかりと结果に反映されるようなアンケートとなるように心がけているようです。

米村先生にとっての「工学研究」とは&补尘辫;高校生へのメッセージ

现象とその背后にある仕组みを理解することを目指すのが「科学」であり、その中でも人间社会につながる技术を扱うものが「工学研究」である、と米村先生は话します。工学研究は「こうだったらいいのに」という実体験から课题が见つかることが多いそうです。米村先生は高校生に向けて「面白いと思った分野の本を読んでほしい。受験勉强に直结しなくても、自分の世界を広げることが楽しさにつながります。」とメッセージを残しました。

2.青山美和さん「理系のウソとホント」

青山美和さんは、中学生の时に「リケジョ」への憧れを抱いたことから理系を志望しました。学部时代は骋尝笔-骋贰蹿滨尝(グローバルリーダー育成プログラム)を通した国际的な议论や留学によって、大学の授业だけでは得られない贵重な体験ができたといいます。青山さんは理科一类から工学部社会基盘学科に进学しました。社会基盘学科は、土木?国际プロジェクトなどのインフラを取り扱う学科で、现地调査や国际学会で発表したことが特に印象に残っているそうです。

就职活动と现在の仕事

青山さんは社会基盘の研究を続けることも悩んだそうですが、ビジネスを通じて社会に贡献する道を选びました。物事の上流から下流まで全てを见られる职に就きたい、土木と「まち」に関わる仕事をしたいという両方の希望が叶えられる総合商社に就职し、现在はオフィスビルの运営?管理を担当しています。

大学时代に培い现在に生きている能力

青山さんは大学时代に培い、今の仕事にも生きている能力として「主体性」「マルチタスク能力」「数字と社会背景をつなげて分析する力」を挙げています。青山さんの会社では、オフィスビルの运営?管理をほぼ青山さん1人で行っているそうですが、大学时代に「主体性」を持って研究を进めた経験によって、自分から积极的に周囲と连携を取るように心がけ、责任を持って业务にあたることができているそうです。
実験と资料による调査を组み合わせながら研究を进めたという経験からは、同时进行でさまざまな仕事を捌く「マルチタスク能力」を育むことができたといいます。
また、市场の状况によってオフィスビルの移転のトレンドが影响を受けると青山さんはいいます。研究を通して培った「数字と社会背景をつなげて分析する力」が、データを见ながら営业の方向性を考えることに生きているそうです。

理系の「ウソとホント」への回答&补尘辫;高校生へのメッセージ

青山さんは讲演の最后に、理系の「ウソとホント」への回答を提示しました。
理系は全员が研究者になるのが普通、というわけではなく、研究者以外にも道があります。ただ、大学时代に理系として培った能力?経験は、研究の道でないと无駄になってしまうわけではなく、全く関係のない就职先でも活用できる、と话します。また、研究ができたことは贵重な経験で、理系を选ぶことで将来の选択肢を広げることにつながったと语りました。青山さんは高校生に向けて「自分も中学生?高校生のときは、将来のビジョンがほとんどありませんでした。中学?高校で见えている世界は狭いので、将来の梦を今无理やり见つける必要はありません。その时その时に掴めるチャンスを掴みながら、进路を决めていってほしい。」とメッセージを残しました。

3.石崎未来さん「仮説を立てて検証すること」

石崎さんはお茶の水女子大学で大学院修士课程修了までの6年间を过ごしてから、エンジニアとして就职し、「确率を用いた発电プラントの安全性」についての仕事をしていたそうです。その后、东京大学生产技术研究所の博士课程へ入学し、现在博士2年生です。研究生活の魅力として、会社での研究开発と比べてテーマを自由に决められること、自分の好きな时间で研究ができることを挙げていました。

「仮説を立てて検証をする」とは?

「仮説を立てて検証する」プロセスについて、石崎さんは身近な例を用いて説明しました。まずは、経験や情报を一般化して仮説を立てます。例えば「『暑い日にはアイスを食べたくなる』という感覚は他の人も持っているものなのではないか?」という仮説を立てます。次に「暑い日にはアイスを食べたくなる」という仮説を「日本において、夏(7,8月)には他の季节よりもアイスの売り上げが増加する」などと、数字?比较などを使って、仮説をより具体的にします。最后に、検証のプロセスに移ります。上の仮説を検証するためには、例えば「アイスクリームの购入额のデータ」を用いることができると话します。



研究绍介~量子热力学

石崎さんは热力学と量子力学を组み合わせた「量子热力学」を研究テーマとしています。教科书や论文、専门家との议论をもとに「量子を媒介とする热サイクルを実装できたら、より热効率が上がるのではないか?」という仮説を立てました。热サイクルとは、気体が热され外部に仕事をする、一连のサイクルを意味します。「とり得る状态が确率的である=重ね合わせ状态を取る」という特徴を持つミクロな粒子「量子」を仕事の媒体とすることで、より効率良く仕事ができるのではないか、と石崎さんは考えたのです。この仮説を検証するために、石崎さんは计算机でのシミュレーションを行いました。すると、研究で扱ったモデルでは「热効率が上がる」という结果は得られませんでしたが、予想しなかった挙动が得られました。さらに研究を进めていくことでこの予想外の挙动の谜が解明できるのではないか、と石崎さんは考えているそうです。研究でうまくいかないときは教科书や论文を読んで考える、その道のプロと议论することなどによって解决の糸口を见つけているそうです。また、研究テーマをしばらくおいておくと、急にアイデアが思い浮かぶこともあるそうです。

理系进学は女性にとって不利なのか?

「リケジョ」が注目を浴びているとはいえ、まだまだ男性の割合が多いのが理系。そんな理系の世界に飞び込んだ登坛者の方々に率直な感想を述べてもらいました。

3方とも女子校から理系に进学し、文化の违いに戸惑ったこともあったそうです。
石崎さんは、あれができるのではないか、これができるのではないかと仮説を立てて考えて自分の进路を决めていくのがいいのではないかとのでした。青山さんは、女性が少ない分重宝されていると感じることもあるそうです。米村先生は、男性の多い理系の世界の中で研究を进めていくうちに、自分の意志が次第に固まっていったとこのとでした。「自分の好きなことをする」という信念を曲げず、自分で考えることを忘れずに进んでいってほしい、と高校生に向けてエールを送りました。