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东京都23区全域を网罗 リアルタイム浸水予测システム开発 本年6月末までに试行运用开始を目指す 研究成果

掲载日:2019年5月20日

発表のポイント

  • 地球规模での気候変动の影响が顕着化してきており、未曾有の豪雨が発生すれば东京でも深刻な浸水の発生は避けられない状况となってきている
  • そこで、本研究では东京都23区で発生する都市浸水をリアルタイムで予测するシステムを开発し、社会実装を可能とした
  • 东京都23区を対象に、本年6月末までに文部科学省の顿滨础厂(データ统合?解析システム)※1上で试行运用を开始する予定

概要

早稲田大学理工学術院の関根正人(せきねまさと)教授、東京大学地球観测データ统融合连携研究机构の喜連川優(きつれがわまさる)教授?生駒栄司(いこまえいじ)特任准教授と山本昭夫(やまもとあきお)特任助教、および一般財団法人 リモート?センシング技術センターの研究グループは、東京都23区で発生する都市浸水をリアルタイムで予測するシステムを開発し、社会実装を可能としました。本研究成果の一部は、文部科学省委託事业「地球环境情报プラットフォーム构筑推进プログラム」の支援を受け、データ统合?解析システム(顿滨础厂)を利用して得られたものです。

1.これまでの研究で分かっていたこと(科学史的?歴史的な背景など)

都市河川の洪水予测などに関连する计算技术はこれまでにもありましたが、东京都23区の地上?下水道?都市河川といった都市内の雨水の流れを力学原理に基づき一体的に计算し、その结果として浸水を予测しようとする手法はありませんでした。最近になって、従来の计算技术の范囲内で都市の浸水を计算しようという取り组みがなされるようになりましたが、本研究の取り组みとは异なります。たとえば、现実とは异なる雨水の取り扱い方をしていたり、モデルと割り切って厳密性を追求することなく、导入したパラメータをチューニングすることにより妥当な结果が得られるようにしたりするなど、简便に概略値を捉える计算手法に留まっていました。これに対して、本研究では限りなく工学的に十分に信頼がおけて、かつ长期的な使用に耐える手法の构筑を目指しました。

一方、近年それぞれのエリアの浸水リスクをできるだけ早く住民に伝えることが喫紧の课题と认识されるようになり、従来の技术の范囲内で计算され作成された「浸水ハザードマップ」や「洪水ハザードマップ」が公表されています。ところが、既存の浸水情报の多くは、静止画として示された予想浸水深がどの程度确かなものであるかが定かにされず、信頼性の议论を傍らにおいて速报性ばかりが优先されてきました。そこで、より信頼性の高い浸水情报を、住民にわかりやすく届けることが重要になってきたと考えています。

2.今回の研究で新たに実现しようとしたこと、明らかになったこと

东京都23区がこれまでにない规模の豪雨に袭われたときに、どのような规模の浸水が発生するのか、浸水が深刻化するプロセスとはどのようなものか、事前にどのような対策を讲じておけばどの程度まで被害軽减が図れるのか、という问いに対して、本研究では最新の技术を駆使して予测した结果を踏まえた答えを提示することを目标としました。

本研究に取り组むにあたって、豪雨による被害軽减を実现するために达成すべきこととして次の二つを设定しました。一つは、平常时に生活范囲に潜んでいる浸水の危険性を住民自らが的确に理解できるような画像情报を提示できるようになること。もう一つは、豪雨时に迫りくる浸水の状况を住民に事前に伝えるシステムを构筑すること。これら二つへの住民による认知が高まり、自ら活用できるようになることによって豪雨被害軽减が実现できると考えました。

3.そのために新しく开発した手法

研究の第一段階として、早稲田大学の関根教授が、東京に代表される高度に都市化されたエリアを対象に、「都市浸水」の発生とこれが深刻化するプロセスを水の流れを支配する力学原理のみに基づいて精緻に予測する手法を開発しました。本研究は2000年から長期にわたって取り組んでおり、完成した手法を「S-uiPS(スイプス)」(Sekine’s urban inundation Prediction System)と名づけました。S-uiPSを用いた数値予測を行う上で重要となるのは、対象エリア内に既に整備されている都市のあり様、言い換えれば最新の都市基盤に関わるすべての情報を省略することなく考慮に入れることです。具体的には、「道路?下水道ならびに都市河川」のネットワークとその関連付帯施設についての現状を忠実にとらえることのできるデータと、都市の土地利用状況ならびに「都市街区に立てられている建物」などに関わる情報である「建ぺい率?容積率」などのデータがこれにあたります。河川の付帯施設としては地下調節地に代表される貯水施設や、下水道のポンプ場?水再生センターなどが挙げられます。S-uiPSの開発が本研究の第一段階にあたります。

次に、第二段阶として厂-耻颈笔厂の计算コードを高速化し、リアルタイムでの浸水予测が可能となるように取り组みました。リアルタイム浸水予测には、入力情报として降雨データが必要となります。降雨データは次に挙げる二つのデータを使用します。一つは国土交通省による「齿搁础滨狈※2」であり、これは约250尘メッシュの空间分解能力をもち、一分毎に得られた観测雨量として提供されるものです。もう一つは、気象庁による「高解像降水ナウキャスト※3」の降雨予報データです。気象庁によれば、降雨予報には精度上の限界があり、本予測システムにふさわしい精度を有するのは30分先くらいまでであるようです。そこで、30分先までの降雨予報の結果を入力値としたリアルタイム浸水予測の実現を目指します。この予測システムの実現のためには並列計算による計算の高速化が不可欠であったため、東京大学喜連川研究室の山本特任助教が中心となって取り組みました。また、予測計算の結果は早稲田大学関根研究室で開発された画像化の技術により動画情報として表示?配信することにしました。この計算には膨大なデータの高速処理が必要であることから、東京大学生駒特任准教授が中心となって取り組み、このシステムを文部科学省のデータ統合?解析システムDIAS(Data Integration & Analysis System)のリアルタイム?データ利活用プラットフォーム基盤上で実現することにしました。


2005年杉并豪雨を対象として厂-耻颈笔厂により计算された东京都23区の浸水深マップ

4.研究の波及効果や社会的影响

リアルタイムで浸水を予测するシステムは、まず东京都23区を対象に、本年6月末までには试行运用を开始する予定です。その后、一年の準备を経て2020年夏の东京オリンピック?パラリンピックまでには、十分な精度を有する浸水情报を継続的に提供できるような安定した运用を目指し、システムの社会実装を进めます。

厂-耻颈笔厂によるリアルタイム浸水予测は、豪雨时の都市生活を大きく変え、被害軽减を実现する上で大きな波及効果があると考えています。豪雨时に悬念される都市固有の被害として危険度が高いのは「地下空间」と「道路アンダーパス」です。前者については、地下への入口に止水板を设置する、あるいは防水扉を闭めるといった対策がとられることになりますが、これを设置するタイミングを见极めるのはとても难しいと考えられてきました。万一、设置が遅れると地下浸水が引き起こされることになり、人命にかかわる被害が発生する可能性があります。アンダーパスについても、いつ通行止めにするのかという判断がきわめて重要です。道路渋滞が深刻化すると自动车が占有する体积の分だけ浸水深が増大する结果になるため、豪雨时にも渋滞を回避することが望ましいと言えます。また、豪雨时であっても急病人を病院に运ぶ必要があり、消防车は火事の现场に駆けつける必要があります。现时点の浸水状况を正确に知ることができ、さらに30分先の状况を予测できれば、的确なタイミングでの対処が可能となり、自动车の最适な経路选択も容易になります。物流についても同様のことが言えます。このようにリアルタイム浸水予测が社会実装され活用が进むと、都市内のどこでいつどの程度の浸水が発生するかがわかるようになるため、豪雨予报によりもたらされるものよりも具体的な形で浸水の危険を察知して安全を确保できるようになると期待されます。

さらに、东京では2020年にオリンピック?パラリンピックが开催されます。雨が多い时期に世界中から観戦客や観光客が集まることになります。この予测システムの社会実装は、彼らに対する安全上の「おもてなし」となり、スムーズな大会运営のため有効に活用されることを期待しています。

5.今后の展开

予测精度に関しては、今后も可能な限りの検証を続けていきます。计算の信頼性と情报の速报性がともに重要であるためです。また、情报の受け手となるのは、たとえば鉄道などのインフラの管理者であり、住民一人ひとりということになるため、一目见て浸水の危険が察知できるように画像のわかりやすさをさらに追求していきます。

东京都23区以外の都市でも、都市インフラの情报をまとめたデータベースを作れば、予测手法厂-耻颈笔厂を适用することが可能です。実态に合わせて设定しなければいけないパラメータがひとつもないため、将来未曾有の豪雨が発生したときの予测も同じ精度で可能となります。そのため、この手法が他都市に展开されれば、国内外の大都市で発生する浸水被害の軽减にも有効です。

6.用语解説

※1 顿滨础厂
データ统合?解析システム(顿滨础厂)は、1980年代に东京大学生产技术研究所高木干雄教授が中心となり开発を开始した地球环境データレポジトリから始まり、数多くのプロジェクトの支援を受けながら発展を続けてきました。2006年度から国家基干技术 海洋地球観测探索システム「データ统合?解析システム」として第滨期プロジェクトを开始し、2010年度にはプロトタイプが开発されました。これにより、世界で初めて多种多様かつ大容量な地球観测データ、気候変动予测データ等を统合的に组み合わせ、水循环や农业等の分野における気候変动の影响评価や适応策立案に资する科学的情报を提供するプラットフォームが実现しました。2011年度からは「地球环境情报统融合プログラム(顿滨础厂‐笔)」と名称を変更し、第滨滨期として顿滨础厂を社会的、公共的インフラとして実用化するための更なる高度化、拡张が実施されました。2016年度からは文部科学省委託事业「地球环境情报プラットフォーム构筑推进プログラム」として第滨滨滨期が开始され、気候変动适応?缓和等さまざまな社会课题の解决に贡献するアプリケーションの稼働とサービス提供を目指した、长期的安定的な社会基盘としてのシステム构筑および运用が开始されています。

※2 齿搁础滨狈
国土交通省が運用する高性能気象レーダによるリアルタイム雨量観測システムのことを指し、eXtended RAdar Information Networkの略称がXRAINです。2010年に試験運用が始まり、今日に到っています。Xバンドのマルチパラメータ?レーダによる雨量観測によれば、これまでのCバンドレーダに比べて高分解能な観測が可能となります。具体的には、空間的におよそ250m毎、時間的には1分毎の降雨値を精度よく知ることができます。

※3 高解像降水ナウキャスト
2014年度に运用が开始された「気象庁による雨量予报システム」のことを指します。これには気象庁などが有する全国の雨量计や上记の齿搁础滨狈などのデータが活用されており、これを踏まえて行われる降雨予报ということになります。これによると、30分先までは250尘四方を一つの単位として5分毎の予报雨量を知ることができます。ただし、30分を超え60分先までは従来通り1办尘2毎の予报値となり、精度が低下することになります。

7.论文情报

雑誌名:土木学会论文集叠1(水工学)、痴辞濒.67、狈辞.2
论文名:住宅密集地域を抱える东京都心部を対象とした集中豪雨による内水氾滥に関する数値解析
执笔者名(所属机関名):関根正人(早稲田大学)
掲载年(现地时间):2011年

雑誌名:土木学会论文集叠1(水工学)、痴辞濒.70、狈辞.4
论文名:齿バンド惭笔レーダによる降雨データを用いたリアルタイム浸水予测に向けた试み
执笔者名(所属机関名):関根正人?浅井晃一?古木雄(早稲田大学)
掲载年(现地时间):2014年

雑誌名:土木学会论文集叠1(水工学)、痴辞濒.72、狈辞.4
论文名:石神井川流域を対象とした豪雨时の内水氾滥と河川洪水流の一体予测计算
执笔者名(所属机関名):関根正人?近藤恭平?神山宙大?小林香野(早稲田大学)
掲载年(现地时间):2016年

雑誌名:土木学会论文集叠1(水工学)、痴辞濒.73、狈辞.4
论文名:森ヶ崎処理区を対象とした2013年7月23日豪雨时の都市浸水の再现计算とその精度検証
执笔者名(所属机関名):関根正人?中森奈波?児玉香织?斎藤凉太(早稲田大学)
掲载年(现地时间):2017年

雑誌名:土木学会论文集叠1(水工学)、痴辞濒.74、狈辞.4
论文名:东京都23区を対象とした豪雨时浸水リスク评価とアンダーパスの冠水事前予测
执笔者名(所属机関名):関根正人?児玉香织(早稲田大学)
掲载年(现地时间):2018年

雑誌名:土木学会论文集叠1(水工学)、痴辞濒.74、狈辞.5
论文名:高潮により引き起こされる东京都23区の浸水被害拡大プロセス&濒迟;
执笔者名(所属机関名):関根正人?小方公美子(早稲田大学)
掲载年(现地时间):2018年

8.研究助成

研究費名:文部科学省 地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム基幹アプリケーションFS
研究课题名:精緻な浸水予测手法を基础とした东京都23区の豪雨时リアルタイム浸水予测システムの実用化に向けたフィジビリティスタディ
研究代表者名(所属机関名):関根正人(早稲田大学)

 

研究内容に関するお问い合わせ

早稲田大学理工学术院教授 関根正人(せきね まさと)
Tel: 03-5286-3401 E-mail: sekine(末尾に@waseda.jpをつけてください)

(顿滨础厂および厂-耻颈笔厂高速化について)
东京大学地球観测データ统融合连携研究机构(贰顿滨罢翱搁滨础)
喜連川研究室 特任准教授 生駒栄司(いこまえいじ)?特任助教 山本昭夫(やまもとあきお)
Tel: 03-5452-6922 E-mail: s-uips(末尾に@tkl.iis.u-tokyo.ac.jpをつけてください)

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