千字で语るコロナ论|哲学 国分功一郎|コロナ禍と東大。
千字で语るコロナ论
东京大学が拥する全26部局から十人の研究者を选び、自身の専门分野の视点からコロナ祸について千字で执笔するよう依頼しました。それはコロナ祸を通して自身の研究を缀るという试みでもあるでしょう。2020年夏、东大研究者たちは何を思い、考えていたのか?
コロナ祸について语るときに研究者の语ることとは?
千&迟颈尘别蝉;十の计一万字でお届けします。
哲学者は社会にとってのアブ
コロナ涡の当初、私のような哲学研究者には感染症について述べることなど何もないと思っていたからマスメディアに発言を求められても断っていたのだが、ある哲学者の発言に出会いその気持ちに変化が访れた。その哲学者とはジョルジオ?アガンベンである。この78歳のイタリアの哲学者はコロナ涡について果敢に発言し、ネット用语で言う「炎上」に巻き込まれていた。その姿を见ていて私は彼の述べるところを日本にも伝えなければという気持ちに駆られた。
アガンベンは二つの悬念を表明していた。一つは、多くの人々が葬仪もなく埋葬されている现状についてである。もちろん遗体から新たな感染が生じる可能性は理解できる。だが、我々が死者への敬意を何のためらいもなく放弃しているとしたら、社会はどうなってしまうだろうか?生存以外のいかなる価値をも认めない社会とはいったい何なのか?
周知の通り、イタリアは今回の感染症で最も强い被害を受けた国の一つである。その中にあってアガンベンは、「死者の権利」が、「生存」の名の下に踏みにじられている现状に强く反発したのである。
もう一つは移动の自由の制限についてである。现在行われている「紧急事态」を理由とした移动の自由の制限は、戦时でも谁も思いつかなかったものだとアガンベンは言う。ここには、移动の自由が単に数ある自由のうちの一つではなく、近代が権利として确立してきた様々な自由──思想の自由等々──の根源にある自由だという考えがある。
この点でアガンベンの主张はドイツの首相アンゲラ?メルケルのスピーチと共鸣していた。东独出身の彼女はこの自由がどれほどの苦労のもとに胜ち取られた権利であるかをよく知っていた。だから、その制限は决して軽々しく决められてはならないと钉を刺すのを忘れなかった。
メルケルは政治家であるから、その上で移动の自由の制限を要请した。哲学者であるアガンベンは、人々が制限を易々と受け入れている现状に警鐘を鸣らすべく果敢に発言した。
私はアガンベンの姿を见てソクラテスの言叶を思い出した。ソクラテスは、哲学者とはアブのようなもので、时折チクリと刺して社会の目を覚まさせるのだと言った。チクリと刺すのだから、アブは嫌われるであろう。アガンベンはこのアブであろうとした。哲学を研究する一人として、「炎上」騒ぎをただ横目で眺めているわけにはいかなかった所以である。