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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

青い唐草模様の表紙

书籍名

Routledge New Horizons in South Asian Studies Caste and Equality in India A Historical Anthropology of Diverse Society and Vernacular Democracy

着者名

判型など

364ページ、ハードカバー

言语

英语

発行年月日

2021年7月30日

ISBN コード

9780367752286

出版社

Routledge

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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Caste and Equality in Indiaは、2010年に东京大学出版会から出版した『』をもとに、内容を改订してアップデートした英文书籍である。本书は、インド地域社会におけるカーストの构造と変容を长期的な视点から明らかにすることを通じて、新たなインド社会観を提示することを目的とする。主たるフィールドはオリッサ州クルダー地方の农村社会で、扱う时代は18世纪から2006年までである。
 
これまでの近代インドの歴史学は、主に政治経済领域に注目し、地位と権力を轴として社会の発展や构造変化をとらえてきた。しかしそれは、インド史に通底するもうひとつの原理、すなわち<存在の平等性>という価値を见逃すものであった。本书は、植民地期以降长いあいだ、カースト?ヒエラルヒーや政治経済的な支配构造の影に隠れてきた、しかし日常生活の社会文化领域においては常に重要でありつづけるとともに、现在インド社会を律する原理として再登场しつつある、この平等性の価値を掘り起こし、1990年代半ば以降に现れつつある民众主导の民主化の契机――<ヴァナキュラー?デモクラシー>――がそうした原理に里打ちされた、歴史的な画期性をもつものであることを明らかにする。
 
ここでの焦点は、インド?オリッサの地域社会において一九九〇年代半ばから顕着となった民主化に伴う社会変容の意义を、长期の歴史のなかのカースト间関係の実践と意味の変化のなかで理解することにある。この时期からオリッサ地域社会では、従来は周縁化されていた「低」カースト民が政治过程に参加するようになり、社会政治的环境は大きく変わりつつある。そしてそれに伴って、カースト间関係を构筑する実践の意味とパターンは新たな変化を遂げようとしている。
 
この社会変容の方向性と重要性を理解するためには、近年における制度的変化や民主的理念の浸透だけではなく、新しい地域社会のありかたをイメージしながらそれを現実化しようとする人々の行為主体性 (エージェンシー) と、そうした想像?創造の営みを支える文化と歴史の厚みに注目する必要がある。インド社会の民主化は、過去の文化と歴史の棄却の上に成立しているのではなく、建設的批判を通じたそれらの再構築においてこそ少しずつであれ可能となっている。ここでカーストは、民主化の邪魔物として単に捨て去られたのではない。むしろ民主化の過程において、カーストの存在意義についての再検討がなされ、カースト関係の再構成がなされてきたことに注目する必要がある。カーストにおけるヒエラルヒーと支配が、近年、特に低カーストから徹底的に批判され否定されてきたことは間違いない。しかし同時に、現在のオリッサ地域社会では、カーストの伝統の内奥にある存在の平等性という価値が新たな重要性を獲得し、地域社会の民主化の過程において大きな役割を果たすにいたっている。
 
こうした过程で人々の行為主体性が発挥されるなかで、カーストは创造的に再解釈され、多元的な社会集団が相互的な差异を承认しつつ平等な立场で协力するための文化资源として、新たな役割を担う可能性を持ち始めつつある。それは日常的な社会関係と理念が継続性を保ちながら変化を遂げ、民主化という现在的な世界状况と折り合いをつけていく过程であり、在地の日常性と世界の歴史性が接合しながら生活世界を革新していく画期的な动きである。
 
本书は次のような独创性を备えている。第一に本书は、歴史学研究と人类学研究をデータ的にも理论的にも融合させた本格的な歴史人类学のモノグラフである。18世纪の贝叶文书を在地で発见し、解読と分析を行った结果として、前植民地期の职分権体制およびその王権との関係が実証的に明らかになった。さらに地方文书、土地台帐、政府资料そしてオーラルヒストリーを利用し、民族誌的调査の成果と合わせることによって、地域社会の过去300年にわたる社会変容を全体的かつ緻密に描いている。
 
第二に本书は、カーストと王権に関する文化人类学的论争から现代インドの政治?社会状况をめぐる议论までを见据えた、深い理论的射程を备えている。特に支配とヒエラルヒーの侧面ばかりが强调されてきたカーストについて、その内奥には存在の平等および供犠の価値があること、また现在の社会変容においてそれらの価値が新たな重要性を帯びつつあることを、歴史的、社会的、思想的な検讨をもとに论じていることは、きわめてオリジナルな贡献である。
 
第叁に本书は、现代インド地域社会に生まれつつあるヴァナキュラー?デモクラシーの姿を、民族誌的な厚さと现代政治の动态のなかで生き生きと描き出している。新たに政治参加を果たした低カーストや女性は、文化资源としてのカーストを创造的に再构筑して、民主的协力に関する新しい社会ヴィジョンを提出している。本书は、现代インド社会?政治の実态に関する理解に资するだけでなく、民主主义の比较研究や理论研究のための新たな础になることが期待される。

 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 田辺 明生 / 2021)

本の目次

第一章 はじめに―日常的実践における伦理の文化政治学に向けて
第二章 多様性の管理―フロンティア、森林コミュニティ、小王国
第叁章 地域社会と王権―「カースト」、「コミュニティ」、「国家」再考
第四章 植民地初期における変容―二项対立构造の出现
第五章 植民地的二分法の确立―政治経済と文化的アイデンティティ
第六章 ポスト植民地社会における「伝统」―社会文化领域における生モラル
第七章 现金経済と派阀政治―政治経済领域における「鱼の论理」
第八章 仪礼?歴史?アイデンティティ―女神祭祀からみた地域社会と国家
第九章 カーストの解釈をめぐって―下からの社会変容
第十章 ヴァナキュラー?デモクラシーに向けて―ポスト?ポスト植民地的変容
第十一章 ポスト植民地の彼方に

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