JIHYO BOOKS beyond 2020 LEGACY 歴史を受け継ぎ、新しい未来へ
僕という建筑家を一言で要约するとしたら、何ということになるだろうか。「木の建筑家」というまとめ方でも正解だろうが、「リノベーションを建筑にした建筑家」という総括もおもしろいと、僕は感じている。従来の建筑家は、目立つ形の建筑を、ゼロから新筑するのが仕事であった。建筑史の教科书に载っているのも、そんな新筑ばかりである。しかし、僕は、もともとそこにある建筑をリノベーションしたり、保存したりという仕事がとても多い。しかも、その手の仕事に、意外におもしろいものが多いのである。この本で取り上げた建筑は、歌舞伎座、日本桥叁越本店、京王高尾山口駅、京都新风馆、大阪のホテルアンドミュージアムロイヤルクラシックなどである。手の加え方は様々で、保存+修復もあるし、歌舞伎座や、大阪の新歌舞伎座を再现したロイヤルクラシックのように、歴史的建筑物を新たに再现したものも、いくつかやっている。そのような作り方の建筑がいままで无かったわけではないが、そのような改修系の建筑を、僕のような建筑家が手掛け、世の中から注目されるという现象は、いままであまり无かったように感じられる。时代が改修を求めており、改修が建筑の本流になってきたということではないかと、僕は考えている。
ヨーロッパの古い都市では、ほとんどの建筑行為は改修である。新筑などという行為は、きわめて异例の例外的行為である。改修を上手に行うことで、古いものを継承しながら、都市に新鲜な空気を导入しようということで、行政もデザイナーもしのぎを削っているのである。日本にもやっと、そのような段阶がやってきて、僕はそんな新しい时代のパイオニアのひとりということになるのかもしれない。そんなプロジェクトの苦労とか、おもしろさを、参加者に语ってもらってまとめたのがこの本である。
新国立竞技场の话も入っていて、それは新筑ではないかと思われるかもしれないが、あのプロジェクトは、神宫の杜のリノベーションだというつもりで、僕らは取り组んだ。外苑の杜という守るべき环境の保存プロジェクトの一部として、建筑があるのだという考えである。そう考えると、すべての建筑はリノベーションではないかと、僕は思う。敷地はすでにそこにあるので、大地もお隣りさんも、そのままに保存されるわけだから。ゼロからできる新筑なんてものはひとつもないのである。あるものを、どう生かすかが、建筑という行為の基本なのである。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 隈 研吾 / 2020)
本の目次
隈 研吾 氏 日本の伝統を受け継ぎ 未来へつなげるレガシーを、 建築で体現
?関连公司の取り组み
第2章 次代への贈り物
柏木 孝夫 氏 豊かな暮らしの未来像となるスマートコミュニティの実現へ
坂村 健 氏 オープンデータの広がりによる、新しい概念がレガシーに
?関连公司の取り组み
第3章 わが国の未来へ
?霞が関の取り组み
?東京都都市整備局/ 門川 大作 京都市長/
吉田 尚人 高知県梼原町長/ 津曲 俊博 熊本市経済観光局熊本城総合事務所
関连情报
東京2020オリンピック?パラリンピックを読む 第42回『beyond 2020 LEGACY』 (東京都立図書館ホームページ 2018年12月13日)