心理学のための統計学 7 発达心理学のための统计学 縦断データの分析
複数の対象 (個人) に対して複数回収集されたデータは、一般に縦断データと呼ばれます。例えば、子どもの身体能力がどのように変化していくかを追跡的に調査して得られたデータは縦断データです。本書は、時間経過に伴う成長?変化を研究する心理学の一分野である、発达心理学のための统计学的方法に関して、特に縦断データの分析に焦点を当てて解説した教科書です。縦断データは、時間的変化の様態やその個人差、または複数種類の変化の間の関係性を調べる上で特に有効であり、縦断データを活用した優れた応用研究例は、心理学に限らず教育学?経済学?医学領域などを中心に急速に増えてきています。しかし、縦断データの分析を専門的に扱った本は国内では少なく、とりわけ、心理学領域に端を発する統計学の一領域である、心理統計学の方法論を基に解説したものは特に限られています。
本書では、縦断データの分析についての基礎から、比較的最近の高度な話題までを取り上げ、また一貫して構造方程式モデリング (Structural Equation Modeling:SEM) と呼ばれる方法論を基に解説を行っています。各章では、言语発達?知能?社会性?加齢などに関する個別の発達心理学研究の事例を題材とした解説を試みており、統計的方法論の理解を主としながらも、発達心理学への理解を深めることも本書の狙いとしています。そして、データの収集、モデルの設定から母数の推定、そして推定結果の解釈?報告などを含めた一連の統計的作業をデータの分析としてとらえ、個々の段階における重要な話題についても本書の解説の中に含めるようにしました。洋書でも、これらの特徴を有する教科書はないと言ってよいでしょう。
本書が主な対象とする読者は、発達心理学を含め心理学領域を勉強?研究する学部生?大学院生?研究者ですが、上記の事情を考えれば、より多様な学問領域における縦断データの分析に関心のある方全てを対象としていると言ってよいでしょう。現在では (心理) 統計学を学ぶための教科書や参考書があふれていますが、本書を手に取ってくれた読者が、この本一冊で縦断データの分析の基礎を独習して統計学への理解を深め、より専門性の高い学習へと繋げて欲しいと思います。
(紹介文執筆者: 高大接続研究开発センター 准教授 宇佐美 慧 / 2018)
本の目次
1.1 発達心理学における縦断データ――幼児の言语発達をどのように理解するか
1.2 他の形式のデータ――时系列データ?横断データ
1.3 縦断データの长所
1.4 縦断データの短所
1.5 本书の目的と构成
蚕耻颈锄
第2章 縦断データにおける欠测を知る――欠测メカニズム
2.1 データが欠测する理由
2.2 欠测メカニズム
2.3 古典的な欠测データの分析法
2.4 より良い欠测データの分析法
2.5 非ランダム欠测のときの分析
蚕耻颈锄
第3章 高齢者の结晶性知能の平均値を縦断的に比较する――构造方程式モデリングの基础
3.1 高齢者の结晶性知能――平均値の変化
3.2 构造方程式モデリングの基础
3.3 モデル选択
3.4 构造方程式モデリングと分散分析モデル
蚕耻颈锄
第4章 社会适応スキルの発达轨跡をモデリングする――潜在成长モデルの基础
4.1 社会适応モデルの発达轨跡
4.2 潜在成长モデルの基础
4.3 言语スキルデータの分析
4.4 补足
蚕耻颈锄
第5章 复雑な発达的変化を表现する――非线形の発达轨跡のための潜在成长モデル
5.1 2次の潜在成长モデル
5.2 区间线形の潜在成长モデル
蚕耻颈锄
第6章 読书量と语汇力の変化の関係をさぐる――条件付き潜在成长モデルと多変量潜在成长モデル
6.1 読书调査データ――読书量と语汇力の関係
6.2 変化の个人差の要因を调べる――条件付き潜在成长モデル
6.3 多変量縦断データの変化の相関関係を调べる――多変量潜在成长モデル
Quiz
第7章 脳机能と记忆能力の変化の因果関係に迫る――多変量自己回帰モデル
7.1 高齢者の脳データ――脳机能の低下と记忆能力の関係
7.2 自己回帰モデル
7.3 多変量自己回帰モデル
7.4 多変量自己回帰モデルの补足
蚕耻颈锄
付録
各章の蚕耻颈锄の解答
索引
関连情报
2017年日本心理学会国际赏奨励赏
日本行動計量学会林知己夫賞 (優秀賞)
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