Princely India Re-imagined A Historical Anthropology of Mysore from 1799 to the present
英领インドと呼ばれた现在の南アジア诸地域は、18世纪中叶以降まずイギリス东インド会社に、そして19世纪后半以降はイギリスによって统治されたが、それは一様に统治されていたわけではなく、イギリスによる直接统治を受ける地域と、藩王と呼ばれるインド人王族を统治者とする地域に分かれていた。インド人藩王たちは、イギリス人官僚の监视下にあっただけでなく、多大な租税を支払う义务があり、その代わりに彼らの领土はイギリス驻屯军によって守られ、国内の统治には一定の自由が认められていた。インド藩王国と呼ばれた国々はその数500とも600ともいわれ、领土は小さいものは数村程度、大きい国はフランスほどであった。この本で対象とするマイソール藩王国は、こうした藩王国の中でも领土の広さでは3番目、人口では2番目の大きさで、藩王国の中でも最も重要な国の一つであった。
これまで英领インドにおける藩王国そして藩王たちは、イギリスによって创り出された傀儡政権であり、実质的な権力を持たないと考えられてきた。イギリス支配が始まる以前に様々なコミュニティーを繋ぐ社会の纽帯であったインド王権は、植民地时代には无意味になったとする议论が主流であった。そうした见方は1980年以降人文社会学の分野で现れたポストコロニアル研究の影响によりさらに强まった。ヨーロッパ诸国による植民地主义は支配された植民地の人々を不当に搾取しただけでなく、植民地の「伝统」とみられてきた様々な社会的惯习や宗教なども、植民地主义によって効果的な统治のために「创造」されたのだという议论が盛んに行われたのである。こうした议论は、根源的で不変的なものとして捉えられがちな植民地の社会惯习や制度の理解に歴史的な视点を持ち込み、その変容に政治制度が深く関わっていたことを明らかにした点では意义があるが、一方で植民地主义の影响を过大に强调したが故に、こうした「伝统の创造」における现地の人々の役割を軽视してしまった。
本书では、これまであまり研究の対象となってこなかったインド藩王国を取り上げ、现地に残る歴史资料、王族たちへのインタビュー、植民地行政资料などを用いて、植民地统治下のインド王族たちが、植民地的近代という特殊な时间の中で、どのように自分たちの伝统を再认识し、また新たなものへと読み替えていったのかを明らかにした。各章では、王族をイギリス统治にふさわしい近代的な贵族に作り上げていくための新しい教育の导入と、それに现地の王族たちがどう反発し、また利用していったのか、イギリス官僚のネットワークを利用することではじめて可能となった全インド的な王族婚姻戦略とその意义、また王都マイソールを卫生的な近代都市につくりかえる都市计画の过程で再固定化される社会构造、また国家仪礼であるダサラ祭の変容とその多面性などについて议论した。こうした分析から、インド王権が形を変えつつもインドの政治文化の中でいまだに强く生き続けていることを明らかにした。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 准教授 池亀 彩 / 2018)
本の目次
2 The palace
3 The politics of honour
4 Educating the maharajas
5 From clansmen to gentlemen
6 Marriage alliances in imperial space: the 'cosmopolitan' aristocracy
7 The capital of Rajadharma: modern space and religion
8 Dasara, durbar, and dolls: the multi-dimensionality of public ritual
9 The king is dead, long live the king!
関连情报
Review by Barbara N. Ramusack, The Journal of Asian Studies, Volume 73, Issue 04, November 2014, pp. 1151-1152
Review by Robin Jeffrey, Pacific Affairs, Volume 86, Issue 4,
Review by Malinda Banerjee, H-Soz-u-Kult, 15 January 2013
Review by Anthony Good, The South Asianist, Volume. 2, Issue 2, 2013