口下手な人は知らない话し方の极意 认知科学で「话术」を磨く
「あの人の话は间がいい」とか、「相手が无口でどうも间が持てない」というように、私たちは普段から「间」にまつわる表现をよく使います。こういった表现を见闻きすると、间というものが、话し方の何か本质的な部分と関わっていそうだと感じます。ところが改めて「间とは何か」と问われると、答えに穷してしまうものです。本书では、「口下手な私も话术を磨きたい」という切実な愿いを叶える具体的な手法を绍介するという形式で、人が多くの人の前で话すこととはどういう行為なのか、そして、话しをするときの「间とは何か」という问题意识に答えていきます。
そこでは、話す行為のプロフェッショナルである落語家 (噺家) と、その噺を聴く観客の行動を研究対象にして明らかになってきた認知科学的な知見を紹介します。特に、第7章では、日常的に用いられる「間」と「場」という概念を、実証研究の枠組みで検証することが可能な表現に定式化していきます。そのうえで、観客が何気なく行っているまばたきが互いに同期する程度によって、落語家の話のうまさがわかることを紹介していきます。客席で生じるまばたき同期が話しの訴求力に対応しているという事実は、著者が東京に来て寄席に通い、観客のしぐさや姿勢を見つめ続けた末に気づいたものです。そして、実証的な検討を繰り返して、人が話しをする状況に広く当てはまるという普遍性を確かめた指標です。これは、ある日突然発見されるという類のものではありません。著者が落語家の熟達を研究したいと心に決め、未知の現象を求めてフィールドに出て、数年にわたり探究を続けてきた結果として得られた知見です。ですから、これから研究を始めようとする知的好奇心に溢れた読者にとっては、本書は、一人の研究者の研究の歴史として読むことができます。
とはいえ、もっと普段づかいの楽しみ方もできます。本书には认知科学という分野で明らかになった研究知见がちりばめられています。ですから、本书を読めば、具体的な事例を通して认知科学の知识を得ることができます。例えば、人は心の中にあるメンタル?モデルを作りながら、文章や物语の内容を理解していきます。メンタル?モデルの説明のために、本书で绍介した都都逸がこれです。「明けの鐘ゴンと鸣る顷叁日月形の櫛が落ちてる四畳半」。この都都逸を解説するのは野暮ですので止しますが、様々なイメージが広がる文句です。この都都逸がわかる人なら、メンタル?モデルの「细部が省略されても理解できる」という性质と「情报が付加されることで更新される」という性质が纳得できるのではないでしょうか。认知科学が対象にしているのは、脱文脉化されたクールな知性というよりも、むしろこのような生身の知性です。こうしてみると、私たちが生きている世界と研究の世界は、案外近いことが分かります。研究対象はあなたの目の前にあります。本书が、そのことに気づくきっかけになれば幸いです。
(紹介文執筆者: 教育学研究科?教育学部 特任助教 野村 亮太 / 2017)
本の目次
第1章 話術と認知科学
第2章 観客 (聞き手) の反応を感じ取る
第3章 見えをコントロールする
第4章 効果的に話す
第5章 舞台に立つ前に作る話の構造
第6章 準備した話の内容から話術の世界へ
第7章 間と場の定義と実証的研究
第8章 話し方実践講座
おわりに