春雨直播app

東京大学学術成果刊行助成 (東京大学而立賞) に採択された著作を著者自らが語る広場

白い表紙、船に乗った難民のモノクロ写真

书籍名

日本の难民保护 出入国管理政策の戦后史

着者名

判型など

256ページ、础5判、上製

言语

日本语

発行年月日

2024年1月30日

ISBN コード

978-4-7664-2938-1

出版社

庆应义塾大学出版会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

英语版ページ指定

英语ページを见る

欧米諸国に比べて難民認定率が低い日本は、しばしば「難民鎖国」と言われる。では、なぜ日本は難民政策をとるのだろうか。実は、日本においても諸外国においても、国家が難民保護に貢献する理由はあまり明らかにされていない。そこで、本書は、日本を事例に、この研究課題に取り組むために、戦後という長期的な分析の時間軸を設定し、日本政府の難民保護に関する意思決定過程を通時的に辿った。そして、戦後日本の难民保护の政策形成における特徴を明らかにし、これまで日本の難民研究で論じられてきたことを問い直し、欧州を中心に発展してきた移民研究と難民研究に対し、日本の文脈から新たな視座を提供することを試みた。
 
本書は、戦後日本の难民保护について、政治学的に分析した日本で初めての難民研究の学術書である。
 
これまで日本では、主に法学者や弁护士などの実务家が、日本の难民政策が米国などからの「外圧」を受けて発展してきたことを强调し、难民を受け入れようとしない日本政府の消极的な姿势を批判しつつ、望ましい难民保护の在り方を追求してきた。しかし、法解釈や政策评価が盛んに行われる一方で、日本政府がどのように难民保护を捉え、どのような意思を政策に反映させてきたかは十分に明らかにされてこなかった。それは、难民研究という比较的新しい学际的な研究领域では、法学的な研究が盛んに行われている一方で、政治学的な研究蓄积がいまだに少ないということも影响している。そこで、本书は、政治学的な难民研究の発展に寄与することを目指した。
 
そもそも難民は、国民を念頭に置いた近代国家にとって例外的な存在である。庇護を求めてやってきた難民をなし崩し的に受け入れれば、国家の安定に影響が及ぶかもしれない。実際に、どんなにグローバル化が進展し、人権規範が国境を越えて普遍化しても、難民保護において国家は主権を手放そうとはしていない。このことは、国際人権規範による制約を受けつつも、国家がいかにして人の国際移動を管理しようとするのかについて議論を重ねている移民研究にも通じるものである。本書は、日本の难民保护の文脈からこの議論に参加した。
 
第2章から第5章では、日本における难民保护の主要な政策の転换期に着目した。そして、本书は、対外的なイメージ、ひいては外交的利益にかかわるときに、日本が戦略的に难民政策を転换させてきたことを明らかにした。また、その政策形成は、国内事情や国际人権规范の运用状况を踏まえ、段阶的かつ戦略的に行われてきたことを示した。
 
その分析の過程では、戦後日本の难民保护の政策形成過程に一種の能動性も見出している。そして、この能動性をさらに高め、今後の日本の难民保护の在り方を追求していくために、本書は、出入国在留管理庁に難民保護に関する常設の有識者会議を設置し、政策評価制度を導入することを提言している。この意味で、本書は、難民保護において理論と実務の架け橋となりうる一冊である。
 

(紹介文執筆者: 土田 千愛 / 2024年5月22日)

本の目次

序 章 日本の难民保护を問う  
 第1节 本书の问题意识
 第2节 用语の説明
 第3节 调査方法
 第4节 分析の范囲
 第5节 本书の构成
 
第1章 难民研究?移民研究と国境を越える人の移动  
 第1节 庇护と国家主権
 第2节 国境を越える人の移动と国家主権
 第3节 日本の难民研究
 第4节 先行研究における课题と本书の位置づけ
 
第2章 难民保护の前史  
 第1节 単一民族国家形成の试み
 第2节 外国人登録令の制定と出入国管理令の制定
 第3节 出入国管理令における政治亡命者への対応
 第4节 政治犯罪人と政治亡命者
 第5节 出入国管理令改正の试み
 第6节 政治亡命者の保护に向けて
 考 察
 
第3章 インドシナ难民の保护から难民认定制度の成立へ
 第1节 インドシナ难民の保护
 第2節 「難民の地位に関する条約」への加入
 第3节 难民认定制度の成立
 考 察
 
第4章 难民认定制度の再検讨  
 第1节 瀋阳総领事馆事件と难民认定制度の见直し
 第2节 新たな难民认定制度の成立
 考 察
 
第5章 「送还を促进すべき者」と「保护すべき者」  
 第1节 送还に関する问题の変容
 第2節 「送還停止効」の例外規定の創設
 第3节 补完的保护に関して
 考 察
 
終 章 日本の难民保护  
 第1節 日本の难民保护
 第2节 难民研究?移民研究に対する学术的示唆
 第3节 日本の难民研究に対する学術的示唆
 第4节 政策提言
 
註  
あとがき  
参考文献
索引

関连情报

受赏:
第4回东京大学而立赏受赏 (东京大学 2023年)&苍产蝉辫;
/ja/research/systems-data/n03_kankojosei.html
 
着者特别寄稿:
土田千愛「なぜ日本は難民政策をとるのか」 (慶応義塾大学出版会|note 2024年3月7日)


书评:
山本哲史 評 (『図書新聞』第3638号 2024年5月4日)


関连论文:
土田千愛「出入国管理に関する法案と論争 (1969年から1973年):『生権力』の視座で」 (『The Basis:武蔵野大学教養教育リサーチセンター紀要』10号 pp. 247-262 2020年)

 
土田千愛「難民条約加入前の難民保護に対する日本政府のアイディアの変容――難民保護に関する政治過程の分析より」 (『移民政策研究』12号 pp. 112-128 2020年)

 
学会?研究会:
土田千愛「日本における庇護希望者の出入国管理―難民保護の政策形成過程分析より」 (政治社会学会移民難民部会第1回公開セミナー 2024年2月28日)
 
土田千愛「日本の难民保护―出入国管理政策の戦后史」 (第183回多文化共創フォーラム 2024年3月2日)