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東京大学学術成果刊行助成 (東京大学而立賞) に採択された著作を著者自らが語る広場

晋唐道敎の展开と叁敎交渉

书籍名

晋唐道敎の展开と叁敎交渉

着者名

判型など

546ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2022年3月30日

ISBN コード

9784762967115

出版社

汲古书院

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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21世紀の現在、中国語圏において厄祓いや病気を治療する方法として、「符水」(呪文が書かれるお札を燃やした灰を入れたお白湯) を飲む療法が日常茶飯事に行われている。実は、この療法は2世紀の中国の後漢末期に現れた「太平道」という信仰的組織で使用されていたとされる。しかしながら、三国時代に入る前に太平道は反乱を起こして間も無く鎮圧され、朝顔の花一時で歴史舞台から姿を消した。
 
一方で当時、太平道と類似したもう一つの教団的組織、「五斗米道」はその教主たる張魯によって漢中 (陝西省南西部) にて割拠政権を築き、後に曹操の侵攻で滅びたが、前述した療法を含めた儀礼や思想?組織形態などは3~10世紀に至る数百年間において儒教?仏教と応酬しながら大きく発展した。その結果、儒仏二教と鼎立した「道教」へと蛻変し、歴史に名を刻むに至った。
 
本书は、このような时期の多様かつ复雑な道教が歩んだ统合化について论じたものである。主に道儒仏叁教交渉の歴史において、晋唐期の道教が展开した思想的な面に焦点を当て、その原动力となった诸要素を纽解き、その歴史的意义を见出している。本书は、研究目的及び先行研究を论じた序论と総括并びに今后の展望を述べた终章のほか、「道篇」四章および「教篇」四章の论考によって构成される。
 
「道篇」では、晋唐期の道教思想を中心に、当时の道教がいかに教理の中核たる「道」を捉え展开させていったのかをめぐる诸问题について考察を行う。一方、「教篇」では、晋唐期の道教が一つの「教」として、儒教仏教及び王権との応酬の歴史过程において、いかに自身の独自性を保ちつつ、进化展开していったのかについて论じる。以下、中心部を构成する八章の概要は以下の通りである。
 
第一章は南北朝期の道教経典に见える多种多様な「道」の定义と最高神を中心に考察を行い、それぞれ异を呈する様态を指摘し、第二章は隋唐道教の重要概念「重玄」の歴史的展开を再検讨し、その成立时期に新たな见解を提示する。第叁章は道教経典に见られる般若学の空思想の导入の思想史的意义を分析し、第四章は道教が最高神の信仰体系「叁清」を作り出した过程を明らかにする。第五章は石刻资料を例証とし、知识人と村落共同体における道教の最高神に対する认识の変化や道教内部での整合化への动きを指摘し、第六章及び第七章は『弘明集』『広弘明集』の中に见られる仏教の道教批判の类型及び道教思想の理解の変化を検証する。第八章は祭祀仪礼を手掛かりに儒道の交渉の実态について通史的考察を行う。
 
最后、畏れ多いが、本书の学术的意义を述べさせていただく。従来、道教の形成に関する研究は、道教を构成した诸要素を辿る倾向が强く、道教全体の像が见えにくいという倾向があった。本书は従来の研究スタイルに执われず、儒道仏叁教交渉史の中において、道教の形成及びその思想的展开の诸相を考察している。また、造像记や敦煌文献など新史料の运用と厳密な史料批判に重きを置き、道教の成立过程及び儒教仏教との思想的交渉の诸相を分析可能にしている。これらの点は、研究史上大きな意义を有することであると言えよう。
 

(紹介文執筆者: 李 龢書 / 2022年8月22日)

本の目次

序 论
 一、「黄巾」から语る         
 二、多岐にわたる「道敎」像
 叁、先行研究槪观  
  (一) 道敎經典に關する先行研究  
  (二) 重玄に關する先行研究  
  (三) 道敎史に關する先行研究
  (四) 老子、老君に關する先行研究 
  (五) 道敎造像に關する先行研究
 四、本书の目的と构成       
  (一) 本書の目的 
  (二) 本書の構成
 
道  篇
 
第一章 「道」の諸貌 : 东晋南北朝初期道经における「道」を中心に
 一、古上淸经系经典に见える「道」と至尊神
  (一) 錯綜した複合的修錬法の傳統     
  (二)『上淸大洞眞经』
  (叁)『洞眞高上玉帝大洞雌一玉检五老宝经』
  (四)『洞眞太上素灵洞元大有妙经』    
  (五)『太上叁天正法经』
 二、古灵宝经系经典に见える「道」と至尊神 
  (一) 元始舊經  
  (二) 仙公新經
 叁、重层的な至尊神体系の形成
 
第二章 再び「道」へ : 隋代以前における重玄思想について
 一、『太玄眞一本际经』における重玄思想について
 二、『老子道德经开题序诀义疏』における重玄思想について
 叁、『道德眞经广圣义』における重玄思想について
 四、『道德眞经广圣义』に见える重玄思想の二重构造について
 五、隋代までのいわゆる「重玄诸子」の重玄説について     
 六、「道」への回归
 
第叁章 隋唐初期道敎における般若学の空思想の受容について
 一、『太玄眞一本际妙经』「护国品」に见える空思想について
 二、『太言眞一本际妙经』「付嘱品」に见える空思想について
 叁、『太言眞一本际妙经』における空思想の役割
 四、新しい动き:『道经义枢』など诸道经に见える空思想について
 
第四章 叁
 一、『洞玄灵宝眞灵位业图』をめぐる诸问题
 二、南北朝隋唐期道敎经典に见える天界の叁淸説と至尊神体系について
 叁、南北朝隋唐道敎の斋法科仪类经典に现れた至尊神信仰体系の变迁
 四、南北朝道敎戒律经典に见える至尊神信仰体系について
 五、道敎における叁淸信仰体系の成立
 
敎  篇
 
第五章 北朝道敎に关する几つかの考察
 一、造像记に见える老君と天尊   
  (一) 道敎の造像をめぐる諸問題  
  (二) 南北朝隋代における造像記に見える老君と天尊
   A. 造像の數量?年代?場所等について 
   B. 造像の用語、目的及び研究方法についての再考
 二、造像记の反映する北朝期における道敎の发展史
  (一) 北齊における天師道        
  (二) 北周における天師道と南方系道經の影響
  (三) 造像記の歴史的意義
 叁、正史并びに「道敎实花序」に见える老君と天尊
  (一)『魏书』释老志に见える老君の姿  
  (二)『隋书』经籍志の「道经序」见える老君と天尊
  (三) 橋渡しとしてのテキスト :「道敎實花序」
 
第六章 晋唐佛敎の道敎批判论理の定型化 ――『弘明集』『广弘明集』を中心に ――
 一、『弘明集』に见られる道敎批判について  
 二、『广弘明集』に见られる道敎批判について
 叁、道敎侧の反应              
 四、后世への影响について
 
第七章 晋唐佛敎の道敎敎理の理解について ――『弘明集』『广弘明集』を中心に ――
 一、『弘明集』に见られる道敎敎理の理解について
  (一)『老子』と长生神仙思想について  
  (二) 道敎と氣化論について
 二、『广弘明集』に见られる道敎敎理の理解について
  (一)「笑道论」における道敎敎理批判  
  (二)「二敎论」における道敎敎理批判
  (叁)『辩正论』における道敎敎理批判
 
第八章 道敎?儒敎と王权 ―― 汉唐间における道儒二敎の祭祀仪礼を中心に ――
 一、はじめに   
 二、荀济の排佛论から语る     
 叁、儒敎における六天説の成立と展开
 四、道敎仪礼に见える儒敎六天祭仪の继承と变容  
 五、道敎?儒教?王權の競合 : 明代の靈濟宮を中心に  
 小结「屈服史」再考
 
终 章                           
 
参考资料
三教關連略年表 (東周-五代)
あとがき
索 引

関连情报

受赏:
第2回东京大学而立赏受赏 (东京大学 2021年)&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;
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