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東京大学学術成果刊行助成 (東京大学而立賞) に採択された著作を著者自らが語る広場

女性がお茶を飲む絵画

书籍名

ベトナム近代美术史 フランス支配下の半世纪

着者名

判型など

480ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2021年6月30日

ISBN コード

9784562058457

出版社

原书房

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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ベトナムにおける「美术」の近代化とは、いかなる现象であったのか。本国と植民地、前近代と近代、东洋と西洋など、几重にも交错しているゆえ、その実态が见えづらくなっているベトナム近代の「美术」を丁寧に読み解き、1887年から1945年までのフランス植民地下に限定したベトナムの「美术」の诞生とその歩みを明らかにしたのが本书である。
 
これまでの研究は、1925年のインドシナ美術学校の開校によって、ベトナムに「美術」がもたらされたと主張するものであった。確かに、ベトナムがBeaux-arts (美術) という概念に出会ったのは、フランスの統治下である。しかしながら、支配者であったフランスが植民地に「美術」をもたらして「近代化」させたという見解は、いささか単純すぎよう。本書は、多くの新資料の発見によって、ベトナム人画家たちはフランスから受け入れたものを脱構築しながら自らの文化形式として「美術」を創りあげることに成功したという見取り図を提示した。
 
議論のためには、まずは、フランスとベトナム、それぞれが求めていた「美術」を確認し、「美術」という言葉が新しい翻訳造語であり、原語との間にどのような記号論的なずれがあったのかを確認しなければならない。そこで本書は、第一部にて、言语横断的視座に立ちながら、複数の言语 (仏?越?中) で書かれた資料を照合し、歴史を立体的に再現することを試みた。それによって見えてきたのは、フランスとベトナムの「美術」をめぐる駆け引きである。
 
第二部では、その両者の駆け引きに焦点を当てた。お互いが「ルネサンス」を合言叶にベトナム美术の创出を试みているが、両者の「ルネサンス」の相违が梃子となり、运动はベクトルを大きく変えていく。间接的ではあるが、日本もベトナム美术の创出に関与していたことも明らかにした。フランス侧からは「ジャポニスム」という19世纪欧州の现象の「延长」として、ベトナム侧からは同じ旧汉字圏からの「近代化」のモデルとして、日本の美术や工艺の技术、表现、教育法、日本人教师、そして、冈仓覚叁の近代化思想などがベトナムに持ち込まれたことを绍介した。
 
第叁部では、初期の画家たちによるベトナム美术创出の格闘と戦略を具体的に记した。この部は、これまで日本の読者にはほとんど知られてこなかった近代ベトナム絵画についての导入にもなっている。
 
こうしたベトナム美术の轨跡は、アジアにおける美术?艺术の近代化がどのようになされたかを问うものであり、日本も含めたアジアの问题として示唆されよう。我が国におけるベトナムの近代美术に関する书籍は、「皆无」とも言える悲惨な状态にあり、本书はその空白部を补うことになろう。

 

(紹介文執筆者: 二村 淳子 / 2022年3月1日)

本の目次

序章
 
第一部  美术と技术   1887~1932年
 
第一章 フランスからみたベトナム艺术:「安南艺术」とは何か?
    第一节 「安南艺术」の语り手と具体的内容
    第二节 「安南艺术」の性质
    第叁节 「安南艺术」とジャポニスム
 
第二章  叁度の博覧会:「美术」との邂逅と工艺の领有
    第一節 一九〇二年 ハノイ博覧会
    第二節 一九〇六年 マルセイユ植民地博覧会
    第三節 一九二二年 マルセイユ植民地博覧会
    第四节 フランス植民地艺术家协会とベトナム
 
第叁章 植民地における技术教育:手仕事の軽视を乗り越える
    第一节 アール?ゼ?メティエ準备校の导入
    第二节 百科全书の精神と富国
    第叁节 「美术」不在の「応用美术学校」
 
第四章 开智进徳会の「サロン23」:ベトナム初の「美术」展覧会
    第一节 开智进徳会と「闘巧美艺」のねらい
    第二节 展示された作品と混乱
    第三節 ベトナム「美術 (ミートゥアット)」としての絵画の条件
 
第五章 ベトナム新知识人たちの「美术」概念:ペトリュス?キーからナム?ソンまで
    第一节 辞书における叠别补耻虫-补谤迟蝉訳の変迁
    第二节 クインの考える「美术」
    第叁节 ナム?ソンの「美术」
 
第二部 ふたつの「ルネサンス」 1924~1931年
 
第六章 植民者たちの「ルネサンス」と装饰の復兴
    第一节 ロマンティック?コロニアリズム?
    第二节 ナショナル?アイデンティティとしての「装饰」
    第叁节 アルベール?サローの「ルネサンス」
    第四节 タルデューのインドシナ美术学校における「ルネサンス」
 
第七章 ファム?クインと冈仓覚叁の「ルネサンス」
    第一节 「ギリシア?ローマ」というカノンとの対峙
    第二节 东アジア近代化の座标轴としての「ルネサンス」
    第三節 理想の範囲と茶書: 「東洋の理想」と、「茶の本」
 
第八章 ベトナム知识人たちの「安南ルネサンス」
    第一节 「原住民艺术ルネサンス」
    第二节 ベトナム侧の「ルネサンス」
    第叁节 二つの回帰运动
    第四节 抵抗文化としての「安南ルネサンス」
 
第九章 インドシナ美术学校の制度検讨:フランス植民地政府の美术教育
    第一节 公文书に见るインドシナ美术学校の在り方
    第二节 ボザールである根拠、およびその理由
    第叁节 曖昧さが及ぼした结果
 
第一〇章 インドシナ美术学校、実现されなかった二つの计画
    第一节 消えた陶艺クラス
    第二节 幻のハノイ美术馆
 
第十一章 インドシナ美术学校长タルデューの役割
    第一节 ヴィクトール?タルデューについて
    第二节 仏安艺术友好会の活动と趣旨
    第叁节 グルドンによる艺术学校构想
 
第叁部 フランスとベトナム 1932~1945年
 
第十二章 ナム?ソンの『中国画』:架け桥としてのデッサン
    第一节 画家ナム?ソンの『中国画』概要&苍产蝉辫;
    第二节 ナム?ソンの『中国画』への二つの疑问
    第叁节 ペトルッチとテーヌからの受容
    第四节 ナム?ソンにとってのデッサン
    第五节 头脳と手仕事の相克
 
第十叁章 ファン?チャンとベトナム绢画の诞生
    第一节 画家グエン?ファン?チャン
    第二节 ファン?チャンの「発见」
    第叁节 絵画と「民族性」
 
第十四章 绢の上のアオザイ美人像:レ?フォー、マイ?トゥ、ヴ?カオ?ダン
    第一节 ハノイからパリへ
    第二节 「フランコ=アンディジェンヌ」絵画
    第叁节 宗主国の「镜」から祖国の「国华」へ
 
第十五章  マイ?トゥの「アンティミテ」
    第一节 フランスでの活跃とその背景
    第二节 人々の暮らしの中の艺术
    第叁节 绢画が纺ぎ出すポリフォニー
 
第十六章 ベトナム漆画の诞生: 漆艺から漆画へ
    第一节 ベトナム漆画诞生史
    第二节 アリックス?エイメ、石河寿卫彦、石川浩洋
    第叁节 工艺と美术の屈曲点
 
终章
 
あとがき、谢辞、図版、参考文献 (ファム?クインによる『东京の理想』と『茶の本』书评全文ほか)

関连情报

着者プロフィール:
白百合女子大学文学部フランス语フランス文学科准教授、及び、国际日本文化研究センター客员准教授。静冈県出身。东京大学大学院総合文化研究科博士课程中退(比较文学比较文化コース)、博士(学术)。东アジアの近代、フランス语圏文化、ガストロノミーに兴味あり。
 
受赏:
第1回东京大学而立赏受赏 (东京大学 2020年)
/ja/research/systems-data/n03_kankojosei.html
 
第七回 スミセイ女性研究者奨励賞
研究テーマ:描かれた女性像―20世紀初頭の東アジア人画家による女性表象 (住友生命 未来を強くする子育てプロジェクト 2013年)

 
自着解説:
新刊『ベトナム近代美术史』あらすじ (二村研究室note 2021年7月31日)

 
书评:
稲贺繁美 评「ヴェトナムの近代とは何だったのか」 (『あいだ』第252号18-26页 2019年11月20日)

 
稲賀繁美 評「本国と植民地、前近代と近代、東洋と西洋との交錯」の狭間に探測を下ろす偉業――二村淳子著『ベトナム近代美术史――フランス支配下の半世纪』(本体五〇〇〇円?原书房)を読む (『図書新聞』No.3519 2021年11月13日)

 
関连书籍:
稲賀繁美 編『映しと移ろい 文化伝播の器と蝕変の実相』 (花鳥社、2019年)

 
二村淳子『常玉 SANYU 1895-1966 モンパルナスの華人画家』 (亜紀書房、2018年)

 
にむらじゅんこ『フレンチ上海』 (平凡社、2006年)

 
関连记事:
特任研究員 澁谷由紀: ベトナムのプロパガンダ絵画 (U-PARLホームページ 2021年7月13日)