近世日本の灾害と宗教 呪术?终末?慰霊?象徴
本书は、「灾害」という人间の生存の危机への文化的认识や対処の过程を「灾害文化」と捉え、近世日本における地震?大火?飢饉?喷火?疫病など、种々の灾害を研究対象に宗教学的视点からの体系的アプローチを试みた研究である。近年の灾害研究は当面する灾害が中心対象になっており、近世日本の灾害を対象とした従来の研究も、ひとつの灾害事象に限定されていた倾向が见出される。これに対して、本书は、海外における人文社会学的な灾害研究の动向を比较?参照することによって、灾害概念论や灾害间の特徴の异同を视野に入れた灾害への体系的な人文学的叙述を目指している。また、それによって近世日本の灾害を相対化し、近现代日本の灾害や他文化圏の灾害と比较検讨する事例を提供する。宗教研究の分野に関しては、特定の教団や宗教者を中心とした「灾害と宗教」研究から距离を置き、宗教现象として「呪术」?「终末」?「慰霊」?「象徴」に照準を合わせいる点にその特徴がある。したがって本书は、これらのキーワードをめぐる概念の叙述や理论化という点で、宗教研究における「灾害」の重要性を认识する机会を提供するという意义を持つ。
具体的に本書では近世日本に起きた地震 (1662年の近江若狭地震?1855年の安政江戸地震)?大火 (1657年の明暦大火)?飢饉 (1732~33年の享保大飢饉)?火山噴火 (1783年の浅間山大噴火)?疫病 (1858年の安政コレラ流行?1862年の文久麻疹大流行) などの災害を研究対象としている。
とくに、当时の人々が残した「灾害见闻记」や「灾害供养塔」、「鯰絵」?「はしか絵」?「コレラ絵」のような「灾害锦絵」などを中心资料とし、灾害をめぐる近世日本の人々の灾害认识と対処の姿を、呪术的実践、灾害体験による世界観の転换、大量死者の発生と対処、灾害象徴などの分析を通して示した。分析においては、「トラウマとしての灾害」に直面して、それを「泥の海」や「火の玉」などのイメージをもって「终末」として认识し、「世なおし」などの「呪术」によって乗り越えようとした人々の生き生きとした姿が浮かび上がってきた。そして、大量の身元不明の死者を诸宗的?集団的?平等的に认识して克服しようとした姿を、集団埋葬や施饿鬼などの「慰霊」の実践を通して确认した。また、灾害认识と対処の全过程に介入する「象徴」の様々な形や意味を、とりわけイメージ化された幕末の锦絵の分析から示した。こうした灾害の场面に见られる「呪术」?「终末」?「慰霊」?「象徴」の侧面は、「灾害」がもつ宗教性を浮き彫りにするものである。
(紹介文執筆者: 朴 炳道 / 2022年2月18日)
本の目次
第一章 「灾害见闻记」からみる呪术と终末――寛文二年の近江?若狭地震と『かなめいし』
第二章 近世火灾における死?埋葬?慰霊――明暦叁年の大火と回向院の开创
第叁章 近世飢饉における死?埋葬?慰霊――享保十七~十八年の大飢饉と飢饉死者
第四章 近世灾害死者をめぐる认识と実践――「无縁」の近世的意味
第五章 近世疫病における灾害の象徴化――文久二年の麻疹大流行と「はしか絵」の登场
第六章 幕末灾害の象徴化と「灾害锦絵」――「疱疮絵」「鯰絵」「はしか絵」「コレラ絵」の相互比较を通して
终 章 まとめと展望――「灾害と宗教」研究の可能性
関连情报
第1回东京大学而立赏受赏 (东京大学 2020年)
/ja/research/systems-data/n03_kankojosei.html
书评:
清水邦彦 評 (『宗教研究』p679-684 2021年12月)
书籍绍介:
「トラウマからユートピアへ展开」 (『仏教タイムス』 2021年5月20日)
アンジャリWeb版:齋藤公太 (神戸大学人文学研究科講師)「亀裂のなかで生きること」 (親鸞仏教センター 2021年5月)
(中外日报 2021年4月10日)
関连记事:
特集: 宗教と感染症「災害」としての近世日本の「疫病」と宗教的対処―疱瘡?麻疹?コレラからコロナまで― (『現代宗教』 2021年)
近世日本の灾害见闻记から読む灾害除けの呪いと终末観(第九部会,研究报告,&濒迟;特集&驳迟;第74回学术大会纪要) (『宗教研究』89巻厂耻辫辫濒号 2016年)