戦後日華経済外交史 1950-1978
台湾は小さい岛でありながら、近代以来、その运命が大国の狭间で翻弄され、东アジア国际秩序変动の前哨地でもあった。本书は第二次世界大戦后、日本帝国秩序が崩壊した背景に、戦胜国の中华民国に返还されるはずだった台湾が、中国大陆における国民党と共产党の内戦、またアジアに拡大した米ソ冷戦によって、「台湾问题」として未解决のまま现在まで残される歴史を振り返るものである。
アメリカが台湾をめぐる国际秩序に大きな影响力を持っていたが、アメリカを中心とする研究はアジアの内在の论理を必ずしも説明できるわけではない。一方で、日中関係史は常に台湾を日中の间で「処理」しなければならない问题で、一种の「里面史」として取り扱われることが多かった。本书はその日米、米中、米台や日中関係に大きく関わるにも関わらず、独自の文脉がある日华?日台関係を注目し、特に従来の政治外交史研究に看过された経済协力の问题を取り上げ、戦后台湾をめぐる国际関係史に新たな视点を与えようとする。
具体的に、本书は1950年代から70年代までの、日本政府と中华民国政府间の贸易、资本、また経済领域の国际参加などの方面における协力の実态を明らかにし、さらにその経済协力関係を新しい外交空间として位置付け、外交面においてどのような意味を持つかということにも分析を加えた。
一般的な理解では、日华?日台関係は1972年まで主に中国承认问题をめぐる政治外交を轴に展开し、断交以后、外交関係から民间の実务関係へ転换し、日中国交正常化以前の日本と中华人民共和国との関係に适用されていた「政経分离」が入れ替わるかたちで日华?日台関係に适用されるようになったとされる。本书は戦后に展开した日华间の実务関係の形成过程において、中国承认问题と络みながら、新しい外交空间が渐进的に形成され、断交を経ても存続して现在に至っているのではないかと考えている。すなわち、日华断交によって外交関係から民间の実务関係へと移行したというのではなく、むしろ断交以前に経済协力面で育まれた実务関係による外交空间が、断交以后にも継続して机能したということである。それによって、1972年の日华断交がそれほど画期的なことではないとも指摘できる。本书は台湾をめぐる国际秩序がいかに変容してきたかという课题を多様な视点で捉えていく一歩となることを愿って止まない。
(紹介文執筆者: 許 珩 / 2020年10月8日)
本の目次
第1章 敵から「友」へ - 戦後日華関係の樹立過程と経済協力 1950-1956
第2章 岸政権期における日華経済協力―第四次日中民間貿易協定と東南アジア経済開発基金構想をめぐって 1957-1960
第3章 第一次円借款の交渉過程 1960-1965
第4章 佐藤政権期の日華関係と第二次円借款の交渉過程 1966-1972
第5章 アジア地域開発と国府の参加ー東南アジア開発閣僚会議とアジア太平洋協議会を中心に 1965-1972
第6章 日華断交以後の経済協力の継続 1972-1978
终章