
书籍名
理知のむこう ダニイル?ハルムスの手法と诗学
判型など
368ページ、四六判、上製
言语
日本语
発行年月日
2019年3月
ISBN コード
978-4-89642-572-7
出版社
未知谷
出版社鲍搁尝
学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)
英语版ページ指定
概要
本書は、20世紀前半のロシアの詩人 / 小説家ダニイル?ハルムス (1905-1942) を論じた本邦初の博士論文に、適宜改訂をほどこしたものである。ハルムスはロシア?アヴァンギャルドの影響下で詩作をはじめ、なかでもロシア未来派の発明したザーウミ (理知を超えた言语 / 概念) の詩学を継承し、発展させた。ところが従来の研究では、彼は不条理という別の領域に進出した作家として、しばしば評価されてきた。だがこうした視座からは、彼が多大な影響を受けた同時代のロシア?アヴァンギャルド、とりわけロシア未来派の伝統は、克服された過去として把捉されてしまう。
そこで本書では、ハルムスをロシア?アヴァンギャルドの文脈に改めて置きなおし、その時代の文学的 / 文化的事象、および彼自身の様々なテキストと照らしあわせることで、その詩学の全体像を浮かびあがらせている。彼は未来派詩人から不条理作家へと変貌したのではなく、あくまでロシア未来派の詩学を独自の手法で達成しようとしたのである。
本书が描きだすのは、ハルムスが初期から后期までの创作において、手法とジャンルを大きく変えながらも、人间の理知を超越しようと様々な実践をおこなってゆく、その轨跡である。
独创性
分析结果と分析方法の二点において、本书はハルムス研究に新机轴を导入している。
本書が達成したことの一つは、ハルムスの文学史的位置づけの更新である。前述したように、ハルムスはアヴァンギャルド詩人から不条理作家へ変貌したとされ、その詩学の転換が強調されてきた。しかし、本書は彼がロシア?アヴァンギャルド (特にロシア未来派) の詩学を失わず、それを継承?発展させたことを論証し、彼の詩学に一貫性を見出すことに成功した。
こうした再评価を可能にしたのが、第一に、狭义では新造语を指すロシア未来派の発明したザーウミという手法を、概念や理念のレベルとしても把握した点にある。第二に、その手法を音のザーウミと意味のザーウミに二分した点にある。この二つの手続きを踏むことによって、彼が音のザーウミから意味のザーウミへ手法の轴足を移动させ、创作の様相を変化させながらも、理知を超えるというザーウミの基本理念の実现を一贯して目指していたことを立証することができたのである。
新造語全般を表す音のザーウミに対し、意味のザーウミとは、新造語ではない日常的な語彙を用いながら、慣習的な語結合から逸脱することによって、意味上の繋がりを破壊した句ないし文を指す。ロシア?アヴァンギャルド研究史において、この意味のザーウミという概念 / 手法は長らく軽視されてきた。だが今世紀以降、意味のザーウミはロシア?アヴァンギャルドから次世代へ継承された重要な概念 / 手法として評価されつつある。本書はこの最新の研究成果をハルムスの生涯にわたる創作の読解に応用した、管見の限りでは世界に例を見ない試みである。
以上のように、最新の知见を応用した分析方法、そしてそれによって得られた分析结果の二点において、本书は世界のハルムス研究の中で独自の位置を占めている。
(紹介文執筆者: 小澤 裕之 / 2020年3月26日)
本の目次
序章
(ハルムスの略歴 / 研究史 / 理知のむこう / 本書の構成)
第1章 変貌するザーウミ――オベリウ以前のハルムスの诗学
(オベリウ宣言 / ザーウミとは何か / 音のザーウミから意味のザーウミへ / 手法の分析 / 意味の地層)
第2章 音のザーウミへの镇魂歌――『エリザヴェータ?バーム』の源泉
(戯曲に潜る / レノーレ譚 / クルチョーヌィフ / エリザヴェータ?バーム)
第3章 ファウストの轨跡――オベリウ期のテキストにおけるモチーフの研究
(過渡期のテキスト / 争い / 対話 / 和解 / フニュの軌跡 / 散文へ)
第4章 分散と结合――粒子としての『出来事』
(『出来事』の二つの顔 / 幾何学の問題 / 出来事と物語 / 不可視の関係 / 超-物語)
第5章 ハルムスは间违える――『老婆』における「妨害」としてのザーウミ
(いま、ここにあるザーウミ / 小さな過ち / 妨害 / 『老婆』における「妨害」 / おわりに)
结论
文献一覧
ダニイル?ハルムス略年谱
人名索引?作品名索引
沼野充义「跋――彼方の光に导かれて、あるいは「走れ、オザワ!」」
関连情报
関连书籍:
ダニイル?ハルムス (小澤裕之 編訳)『言语機械――ハルムス選集』未知谷、2019年
书评:
武田昭文 評「小澤裕之著『理知のむこう ダニイル?ハルムスの手法と诗学』」 (『ロシア語ロシア文学研究』2019年第51号、54-64頁 2019年10月15日)
沼野恭子「2019 私の3冊」 (東京新聞 2019年12月22日朝刊)