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東京大学学術成果刊行助成 (東京大学而立賞) に採択された著作を著者自らが語る広場

ハロルド?ラスキのモノクロ写真

书籍名

ハロルド?ラスキの政治学 公共的知识人の政治参加とリベラリズムの再定义

着者名

判型など

312ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2019年3月22日

ISBN コード

978-4-13-036273-3

出版社

东京大学出版会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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本書は、20世紀前半のイギリスの政治学者、ハロルド?ラスキ (1893‐1950) を通じて20世紀のリベラリズムの変容を描いた政治学研究です。
 
1920年代に多元的国家論の旗手としてデビューしたラスキは、LSE (ロンドン経済政治学院) を拠点に政治学を講じつつ、1930年代以降はマルクス主義に接近しながら、労働党のブレーンとして活発な言論を展開しました。1950年代の日本でも丸山真男らによる積極的なラスキ受容、すなわち「ラスキ?ブーム」が起きるほどでした。
 
しかし、1950年の死去以来、ラスキは长らく、政治関与によって才能を浪费させた「失败した政治学者」、现実政治でも影响力を行使できなかった「失败した政治家」として忘れ去られていきます。
 
著者はかねてから、このような「学者 / 政治家」の二分法的なラスキ評価に違和感を抱いてきました。それゆえ、学問から抽出した原理をもって同時代へと参与する「公共的知識人 (public intellectual)」という新しい次元でラスキを捉え直し、その再評価を試みようと意欲しました。
 
このような意図の下、本书で导かれた结论は、ラスキ政治学の特徴を端的に「自由と平等の再帰的循环による20世纪リベラリズムの再定义」として捉えるものです。
 
従来のラスキ研究において、自由の擁護に貫かれた初期ラスキと、平等へ軸足を移した後期ラスキとは矛盾として捉えられてきました。しかし本書が強調したのは、ラスキにおける自由と平等とは循環的な関係にあるということです。たとえば、初期の代表作『政治学大綱』(1925年) に示された「多元的社会主義」の構想は、国家の福祉的機能の拡大と国家への多元的制約とを整合させる試みでした。またラスキ晩年のマルクス主義への接近も、ソ連体制こそが個性の開花というリベラリズムの価値を実現しているという基準からなされたものでした。結果として本書は、個人の自由を突き抜けた先に平等を招きよせたラスキの思想変遷を提示するものとなりました。
 
では、ラスキ政治学は現代に何を問いかけるでしょうか? 1980年代以降、「新自由主義グローバリズム」が世界を席巻してきましたが、2016年に英国EU離脱投票、アメリカでトランプ当選をへて、「新自由主義グローバリズム」は明らかに曲がり角を迎えています。今再び、個人の自由を掲げるリベラリズムが平等や公共性といった社会的価値をいかに包摂しえるかが問われています。
 
混迷の现代にあって、自由と平等との循环を示したラスキ政治学は、无制约な市场原理主义を斥けながら「自由」を拥护し、既存福祉国家を相対化しながら「平等」を復権させる理论的可能性を秘めています。21世纪に向けたオルタナティブの模索に向け、本书が思想的材料を提供できればと希望しています。
 

(紹介文執筆者: 大井 赤亥 / 2020年9月9日)

本の目次

序 章 ラスキとは谁か
 はじめに
 第一节 先行研究
 第二节 対象としてのラスキ
 第叁节 本书の构成と方法
 补 论 ユダヤ人としてのラスキ
 
第一章 公共的知识人としてのラスキ
 はじめに
 第一节 知识人をとりまく矛盾
 第二节 アカデミズム批判
 第叁节 民众との接触
 第四节 「代表=表象」机能
 第五节 労働者の政治的知性の涵养
 第六节 小括
 
第二章 初期叁部作と歴史研究
 はじめに
 第一节 问题の背景
 第二节 ビスマルクとド?メーストルの共通性
 第叁节 教会史研究
 第四节 小括
 
第叁章 『政治学大纲』と多元的社会主义
 はじめに
 第一节 问题の背景
 第二节 初期叁部作における国家批判
 第叁节 『政治学大纲』における国家の再定位
 第四节 自由と平等との循环関係
 第五节 小括
 
第四章 ファシズムと共产主义
 はじめに
 第一节 问题の背景
 第二节 共产主义理解
 第叁节 ファシズム认识
 第四节 共产主义认识の変化
 第五节 文明概念と共产主义
 第六节 小括
 
第五章 ニューディールと「政治の自律性」
 はじめに
 第一节 问题の背景
 第二节 第一期ニューディール
 第叁节 第二期ニューディール
 第四节 ルーズヴェルト论
 第五节 ニューディールへの评価
 第六节 小括
 
第六章 第二次世界大戦と同意革命
 はじめに
 第一节 问题の背景
 第二节 マルクス主义的国家论の受容
 第叁节 イギリス议会论の展开
 第四节 同意革命论
 第五节 労働党政権への评価
 第六节 小括
 
第七章 冷戦対立への悲観
 はじめに
 第一节 イギリス政治における周縁化
 第二节 ソ连访问
 第叁节 アメリカ讲演旅行
 第四节 『现代のジレンマ』
 第五节 「ハロルド?ラスキの悲しい终焉」
 
终 章 持続するラスキ
 はじめに
 第一节 ニューレフトとの思想的関连性
 第二节 ユーロ?コミュニズムの潜在的先駆
 第叁节 中间団体论への理论的遗产
 第四节 自由と平等との循环に基づく政治试论
 

関连情报

书评:
橋本五郎 評 「『公共的知識人』はどこに」  (読売新聞  2019年5月11日)
小松敏弘 評 「『公共的知識人』としてラスキを捉え直す」 (図書新聞 2019年9月7日)